[イスタンブール 14日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は14日、中央銀行金融政策委員会(MPC)の3委員を解任し、新たに2委員を任命した。官報で明らかにした。これを受け、通貨リラは過去最安値を更新した。

解任されたのはSemih TumenとUgur Namik Kucukの両副総裁とAbdullah Yavas委員。新たに任命されたのはタハ・チャクマク副総裁とユスフ・ツナ委員。

リラは1ドル=9.1900リラの過去最安値を付けた。下落率は1%。年初来では金融政策への懸念を背景に約19%値を下げている。

アナリストらは先月の利下げについて、「金利の敵」と自称するエルドアン大統領による政治介入の証左だと見ている。

カブジェオール総裁は今週、利下げはサプライズではなく、その後のリラ売りとの関係もほとんどないと述べた。

中銀の次回金融政策決定会合は21日に予定されている。

ロイターは先週、関係筋の話として、エルドアン大統領がカブジェオール総裁に対する信頼を失っていると伝えていた。

大統領はここ数年、MPCのメンバーを何度も入れ替えており、この2年半では総裁の首を3回すげ替えている。

今回のMPC刷新に先立ち、エルドアン大統領がカブジェオール総裁と会談したとの発表が13日遅くにあり、二人が並んで映っている写真が公開された。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、解任されたYavas、Kucukの両氏は最近、MPCの決定事項の一部に反対していた。Kucuk氏はリラ防衛のために準備金を売却することにも反対していたという。

関係筋は「Kucuk氏は、今も中銀で記憶されている文章をMPCで書いた。『リラの安定と信用、またそれに伴う物価の安定は、生産性を土台とする経済成長・発展に必要な前提条件だ。それ以外の手段で実現した成長は長続きしない。金利を今日必要な水準未満に維持すれば、明日引き上げが必要になる金利の水準は今日必要な水準を上回る』というものだ」と述べた。

同筋は、今回の解任について「(中銀にとって)損失だ」との認識を示した。

次回の政策決定会合は今月21日。

ある外国人投資家は「中銀当局者を真夜中に十分な説明もなく解任するのは、中銀の信頼性や市場の信認を高める方法ではない」と述べた。