[ロンドン 7日 ロイター] - 天然ガス価格の高騰により、原油への転換が進み、英国のエネルギー供給業者がさらに廃業に追い込まれると予想される事態になっている。業界団体は7日、今冬の供給中断を避けるよう政府に対策を求めた。

天然ガス価格は、例年より少ない在庫や、ロシアからの供給量の減少、寒い天候、インフラの停止などにより、特に欧州で今年急上昇している。

急激な上昇により、一部のアナリストは、世界の原油需要が日量数十万バレル増加し、既に厳しい供給を圧迫すると予想。各国が冬季に発電のために石油に切り替えるためだ。

英国やスペインでは記録的なエネルギー価格の高騰により、製鉄所や肥料工場など一部の産業が既に生産を縮小し、今冬の食糧不足を警告する声も出ている。

今年破綻した12社のエネルギー供給会社にとっては、価格抑制のいかなる対応も手遅れだ。英国の発電量の約40%はガスが占めており、ガス卸売価格の高騰で、電力の卸売価格が上昇している。

ガス電力市場監督局(Ofgem)は7日、エネルギー供給会社がさらに破綻する可能性が高いと述べた。

ガス価格の上昇で、ロイヤル・ダッチ・シェルなど一部の企業が恩恵を受けている。液化天然ガス(LNG)最大手のシェルは世界需要の約20%を賄う。英国での電力小売事業は、小規模な競合他社の破綻で25万5000件の新規顧客を獲得した。

鉄鋼、化学、肥料、紙などのメーカーを代表する英「エネルギー多量使用者グループ(EIUG)」は、緊急措置によりエネルギーの供給停止を回避するとともに、手頃な価格とするよう政府に求めている。

英国では、ガス価格が連続で過去最高を記録したため、電力先物価格が昨冬を上回ることが予想されている。