[香港 6日 ロイター] - 香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は6日、現在の任期で最後となる施政方針演説を行い、昨年施行された香港国家安全維持法(国安法)の下で香港は発展に向けた新たなスタート地点に立ったとしたほか、自身の優先課題は住宅不足への対応だと表明した。

中国・香港当局は長年、高価で手が届かない住宅が香港の根深い社会問題の元凶だと指摘し、2019年の大規模な反政府抗議活動につながったと考えている。

林鄭氏は「幸いにも、国安法の導入と選挙制度の改善で社会の安全と安定が回復した。香港は今や経済発展の新たなスタートを切る準備が再びできている」と述べた。

演説の重点は手ごろな住宅の確保だ。香港北部の新都市300平方キロメートルに、最終的に約250万人が居住する住宅最大92万6000戸を開発する。香港の人口は750万人。

また、「北部都会区」を国際的なイノベーション・テクノロジーハブとし、50万人以上の雇用を創出。金融センターとしての香港の役割を補完するという。

林鄭氏は「深センとの発展的統合と(広東・香港・マカオの)グレーターベイエリアとの連携を促進する香港の最も重要な地域になるだろう」とした。

土地埋め立てといった政策と北部都会区により、中長期的に土地不足を解消できるとの自信を見せた。

林鄭氏は演説の最後、反政府抗議活動を含め2019年以降「前例のないプレッシャー」に直面していた際に受けた支援について、中国政府や自身の家族に涙ながらに感謝の意を示す場面もあった。