[ワシントン/北京 5日 ロイター] - サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が6日にスイスのチューリヒで中国の楊潔チ国務委員と会談することが5日、明らかになった。

米ホワイトハウスは声明で「中国との競争を責任ある形で管理する取り組みが継続される中、サリバン氏と楊氏は、9月9日に実施された米中首脳の電話会談のフォローアップを行う」とした。

サリバン氏が楊氏と対面形式で会談するのは、3月に米アラスカで実施された会合以来初めて。同会合にはブリンケン国務長官も参加した。ブリンケン氏は6月に楊氏と電話会談を行い、新型コロナウイルスの起源を巡る調査への協力のを呼び掛けると同時に、新疆ウイグル自治区を巡る人権問題や香港、台湾を巡る問題を提起していた。

香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストはチューリヒの会談に向けた調整に詳しい関係者の話として「対話チャンネルを再構築」し、習近平国家主席とバイデン米大統領との「合意を実行する」ことが会談の目的だと報じた。

ホワイトハウスは、サリバン氏がブリュッセルとパリも訪問するとも発表。北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)当局者と会談するほか、楊氏との会談内容を欧州のパートナー国などに説明する。

バイデン政権は、香港、新疆ウイグル自治区の人権問題や新型コロナウイルスの起源などを巡り、中国に圧力をかけており、両国関係は冷え込んでいる。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙「環球時報」は論説記事で、中国は互恵的な通商関係を米国と築く用意があるが、原理原則を巡って譲歩することはなく、対立が長期化することを恐れないと主張した。

「中米貿易戦争は、3年半以上も続いている。中国の経済は弱体化するどころか、米経済の規模に比べて前進している」と論じた。

両国はバイデン政権の発足後、アラスカと天津で対面の高官協議を実施したが、具体的な成果は出ていない。ただ、アナリストは両国が高官級会合を重ねれば、互いに報道記者の取材許可を再び拡大したり、閉館された四川省成都市の米国総領事館とテキサス州ヒューストンの中国総領事館を再開するといった形で、何らかの進展が得られる可能性があるとの見方を示している。

バイデン大統領と中国の習近平国家主席の対面形式での会談実現の場として、今月末にイタリアのローマで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議が一つの機会になるとの見方が出ているが、習主席は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)発生以降、国外に出ていない。

米ジャーマン・マーシャル・ファンドのアジア専門家、ボニー・グレイサー氏は「米中首脳会談の実現につながると期待しているが、オンライン形式になる可能性がある」と述べた。