[香港 4日 ロイター] - 経営危機に陥っている中国不動産大手の中国恒大集団は、不動産管理子会社である恒大物業集団の過半株式を50億ドル超で香港上場の不動産会社、ホプソン・デベロップメント・ホールディングス(合生創展集団)に売却する。中国メディアが4日伝えた。実現すれば、中国恒大にとって過去最大規模の資産売却となる。

3000億ドル以上の負債を抱える中国恒大は、中国で過去最大級のデフォルト(債務不履行)に陥る可能性に直面。デフォルトとなればその影響は甚大とみられ、世界の市場も注視している。

中国恒大、恒大物業、合生創展の株式は4日、いずれも取引が停止されていた。

中国国営紙「環球時報」は他メディアの報道を引用し、合生創展が恒大物業の株式51%を400億香港ドル(51億米ドル)超で買収すると報道。メディア名は明示していない。

中国恒大と合生創展に同紙報道についてコメントを求めたが、回答は得られなかった。

ホプソンは、国内の同業他社に比べて財務状態が良好で、資産が負債を上回っており、上期決算は増益だった。株式時価総額は604億香港ドル(78億ドル)と、年初から40%増加。フィッチは6月、同社を「B+」に格付けした。

恒大物業集団の財務諸表によると、同社の上期決算も黒字となっている。

中国恒大が恒大物業株売却で50億ドル調達できれば、向こう6カ月の外貨建て債の支払いを理論上、賄うことが可能。中国恒大は年末までに約5億ドルの利払いが期日を迎え、来年3月には20億ドルの債券の償還期限を控える。

4日の金融市場では、中国恒大集団の株式売買停止を受けて、オフショア人民元が対ドルで約0.3%下落。売買停止は、香港株式市場のハンセン指数を圧迫する要因にもなった。

アナリストは報道について、中国恒大がなお債務返済を履行しようとしていることを示唆していると指摘。同時に、中国恒大の資産が投げ売りされた場合、中国の不動産セクターや経済全体に影響が及びかねないと懸念する声も聞かれる。

OCBCのアナリストであるEzien Hoo氏は「不動産管理部門が最も容易な処分対象であるようだ。中国恒大が短期的なキャッシュを得ようとしていることを示している」と指摘。「資産売却は依然として支払いのためのキャッシュを得ようとしていることを意味する」として、中国恒大が生き残りを断念したとは確信していないとした。

ナティクシスのアジア太平洋担当シニアエコノミスト、ゲーリー・ウン氏は「中国恒大の流動性危機の解決に向けた前向きな話であることは間違いない。追加の措置も出てくるだろう」と指摘。

その上で「ただ、一部の資産を売却するだけでは全く不十分だ。中国恒大にとって重要なのは、建設プロジェクトを継続し、在庫を販売することだ」と述べた。

4日にはさらに、中国の不動産関連で別の新たな動きがあった。中国恒大にとってより規模の小さい同業である花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が、同日に返済期限を迎えた2億0600万ドルの債務を返済できなかったと発表した。

これに先立ち、フィッチは花様年の信用格付けを「B」から4ノッチ引き下げ「CCCマイナス」とした。花様年はある別の社債を保証していたが、これまで財務報告書には開示されていなかったという。