[27日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は27日、米経済は債券購入プログラムの縮小を開始するための連邦準備理事会(FRB)の基準を間もなく満たすとしたほか、利上げが正当化されるのは2023年後半になるとの見解を示した。

バージニア州で開催された全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次総会で「昨年12月に設定した『実質的な一段の進展』の基準達成が近いとみている」と指摘。「雇用改善の流れが続けば、これらの条件がすぐに満たされ、テーパリング(量的緩和の縮小)を開始することができるだろう」と述べた。

一方、21─22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で公表されたドットチャートにおいて、エバンス総裁は23年の利上げを想定したと言明。従来は24年前半の利上げを予想していたが、「23─24年に十分なインフレを生み出せないことよりもインフレが行き過ぎる可能性のほうが心配だ」とした。

その上で「個人的な見解では、長期的な期待インフレ率を2%に固定するためには、景気拡大期に2%を適度に上回るインフレ率を受け入れ、(景気後退時に)ほぼ必然的に発生する2%割れを相殺すべきだ」と語った。

また、失業率は「そう遠くない将来に」4%を下回ると想定しているが、3.5%に低下したとしてもインフレ率が持続的に2%を上回るには十分ではないと分析。「手に負えない事態にならない限り、インフレ率の上昇リスクは乏しい」としたほか、ボトルネックによる足元の高インフレがインフレ期待に影響を与えると考えるのは依然として「時期尚早」とした。

インフレ率は24年までに2.4%に加速するものの、23年に1回利上げした後の利上げペースは「緩やかな傾斜」にとどまると想定。より速いペースでの利上げが必要と主張する一部の政策当局者とは一線を画した。

エバンス総裁は「われわれはインフレ率が長期的に平均2%で推移するような強力かつ確固たるインフレ期待を固めようとしている」とし、自身の見解として「短期的な高インフレはインフレ期待の強化に役立つ」と主張した。