2021/10/1

【荻田泰永】冒険の「本当の目的」は、ゴールではない

NewsPicks編集部
日本で最も、北極に魅せられた男。

冒険家の荻田泰永氏はこれまで、北極を16回訪れている。初めて北極を訪れたのは、約20年前の2000年。大学を中退し、初めての海外で北極を選んだ。それから毎年のように足を運び続けている。

荻田氏が北極で探し続けるものは、何か。なぜ冒険を続けるのか。半生を全7回でお届けする。
INDEX
  • 「ああ、引き上げるべきだな」
  • 2度目の挑戦、それでも…
  • 正しく生き、美しく生きる

「ああ、引き上げるべきだな」

冒険は目標を達成できることもあれば、危険を感じて引き返すこともあります。難しい状況に追い込まれた時の判断に、経験が表れます。
2012年3月、私は日本人初となる無補給単独歩行での北極点到達に挑戦しました。ところが、結果は惨敗。北極点には到達できませんでした。
多くの島によって海氷の動きが制限される島しょ部と異なり、数千キロ四方に及ぶ北極海は別世界です。