[パリ 21日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は21日、最新の経済見通しを公表し、世界経済は急ピッチに回復する見通しだが、インフレが進行しても各国政府・中銀は景気支援策を解除すべきではないとの認識を示した。

今年の世界の経済成長率予測は5.7%。5月下旬の前回予測から0.1%ポイント下方修正した。来年の予測は0.1%ポイント上方修正し、4.5%とした。

世界の域内総生産(GDP)は新型コロナウイルス流行前の水準を回復したが、ワクチン接種率が低い多くの途上国では経済活動の低迷が続いているという。

20カ国・地域(G20)の平均インフレ率は、需要の回復やサプライチェーンの混乱を背景に、今年末にかけて4.5%でピークに達し、来年末には3.5%に鈍化する見通し。

OECDは、各国中銀に対し、金融緩和を継続するとともに、インフレ率の加速をどこまで容認できるか明確なガイダンスを示すべきだと主張。

各国政府に対しては、引き続き柔軟に景気支援策を実施し、短期的な見通しが不透明な状態が続く限り、支援策を解除しないよう求めた。

国・地域別の経済成長率予測は、米国が今年6.0%で、前回予測から1%ポイント近く下方修正。来年は3.9%で、0.3%ポイント上方修正した。

中国は今年8.5%、来年5.8%で、ともに前回予測から変わらず。

ユーロ圏は今年5.3%で、前回予測から1%ポイント上方修正。来年は4.6%で、0.2%ポイント上方修正した。

会見したOECDのチーフエコノミスト、ローレンス・ボーン氏は、中国の不動産開発大手、中国恒大集団の債務問題について、中国政府には危機を抑制する力があり、全体への影響は限られるだろうと指摘。

「中国当局には、ショックを和らげる財政・金融面の力があると考えている。明らかに特殊な企業を除けば、影響はかなり限定的だろう」と述べた。