2021/9/21

【解説】家電とクルマの未来を変える「次世代バッテリー革命」

INDEX
  • 電池ありきのデバイス進化
  • 次世代バッテリー開発の10年史
  • フィットネス機器からEVへ
  • 既存のラインで生産できるのが強み
  • 「空飛ぶクルマ」への活用も狙う

電池ありきのデバイス進化

ウープ社の新たなフィットネストラッカー「ウープ4.0」は、一見ごく普通の腕時計型ウェアラブル端末だ。しかし、この製品には「スポーツブラ型」や「レギンス型」もある。ごく小型のデバイスなので、布地に挟み込むことができるのだ。
フィットネストラッカーをここまで小型化できたのは快挙だと、ウープ社のジョン・カポディルーポCTOは胸を張る。
小型化を可能にしたのは、まったく新しいタイプのバッテリー。カリフォルニア州アラメダのスタートアップ、シラ・ナノテクノロジーズ(Sila Nanotechnologies)の技術により開発された次世代型バッテリーは、ウープに従来品よりも多くの電力を供給しつつ、寿命は変わらない。
9月4日に発表された「ウープ4.0」(Whoop via The New York Times)
そう聞いても、たいしたニュースには思えないかもしれない。
だがシラに代表されるバッテリー革命の波は家電のデザインを一新し、自動車や飛行機の電化を加速させるかもしれない。送電網内で電力を蓄え、化石燃料への依存を減らすのに役立つ可能性さえある。
新しいアプリやガジェットほど消費者をときめかせる力はないかもしれないが、バッテリーはトランジスタと同じく技術革新の心臓部。バッテリーの性能が上がらなければ、バッテリーで動くデバイスの性能も上がらない。