[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストはドイツのエコノミストを集めた私的な会合で、ECBが2025年までに2%のインフレ目標を達成すると見込んでいると明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が16日、報じた。

ECBはこのような長期予測を公表していないため、レーン氏は未公表の情報を外部の個人に披露したことについて、追及を受ける可能性がある。

ECBの報道官は当初コメントを控えたが、その後声明文を出し、FT報道は不正確だと指摘。「レーン氏はアナリストとのいかなる会話においてもユーロ圏がECBの予測期間終了直後に2%のインフレに到達するとは述べなかった」と説明した。

ただ報道官は、FTが触れた2025年という時期についての質問にはコメントしなかった。

レーン氏は今年既に、政策決定後に投資家と個別会合を開いていることについて世論の批判を浴び、そのような行為の停止を余儀なくされていた。それでもなお、複数のエコノミストを集めた会合を続けていたようだ。

ECBは先週の理事会で、新型コロナウイルス対応の債券買い入れの規模縮小を決定するとともに、最新の域内成長率とインフレ率の見通しを公表。新たなインフレ率見通しは今年が2.2%、2022年が1.7%、23年が1.5%となった。

FTによると、レーン氏はドイツ人エコノミストとの会合で、ECBの「中期的な参照シナリオ」はインフレ率が現在の予測期間の終了直後に2%に回帰すると示していると述べたという。

ECBはインフレ率が予測期間終了のかなり前に2%の目標に到達すると見込まれるようになるまでは利上げをしない方針を示している。予測期間は通常、2─3年となっている。金融市場では今から2年後の利上げが織り込まれている。