[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米政権は9日、新型コロナウイルスに関する新たな行動計画を発表した。感染力の高いデルタ株の拡大が続き、まだ約8000万人の対象者がワクチンを接種していないという事情が背景にある。以下に行動計画の詳細と影響範囲を示した。

<民間企業従業員>

米労働省の労働安全衛生局(OSHA)は、100人以上を雇用する企業経営者全てに対して、従業員への完全なワクチン接種もしくは未接種従業員に週1回の陰性証明提出を義務付ける規則策定を進めている。

ホワイトハウスによると、この規則は民間企業で働く8000万人強に影響する。

OSHAは、100人以上を雇用する企業では、従業員がワクチンを接種し、接種後の副反応がある場合はそれが収まるのを待つために有給休暇を取得できるようにする規則の導入作業も行う。

<医療従事者>

米メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は、メディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険)ないしメディケイド(低所得者向け公的医療保険)に参加し政府から還付を受ける病院、人工透析施設、外来手術施設、在宅医療サービス機関といったほとんどの医療機関について、従業員のワクチン接種を義務化する。対象者は1700万人強に上る見通し。

<検査態勢>

バイデン大統領は、国防生産法(DPA)で定められた権限を行使し、20億ドルを投じて「ポイント・オブ・ケア検査(被検者に医療従事者が直接に短時間行う検査)」と「OTC在宅検査(自宅でできる簡易検査)」のキット2億8000万回分を用意する方針だ。これを小売りのウォルマートやアマゾン・ドット・コム、薬局のクローガーが今週末から3カ月間、原価で、あるいは最大35%安い価格で販売する。在宅検査キットはメディケイドの医療保険金の受取人には無料になる。

厚生省は無料検査プログラムの対象も薬局1万か所に拡大する。

<学校>

バイデン政権は、早期幼児プログラム「ヘッドスタート」と国防総省傘下の各学校、先住民教育局が運営する学校で働く教職員にワクチン接種を義務付ける。バイデン氏は、各州に対して学校の全教職員のワクチン接種義務化方針を採用するよう求める。

<大規模イベント会場>

行動計画では、運動競技場や大規模なコンサートホールなど大人数が集まる娯楽施設に対しては、入場者にワクチン接種か、陰性証明の提示を義務化する。

<公共交通機関でのマスク不着用の罰金引き上げ>

米運輸保安庁(TSA)は、公共交通機関などでのマスク着用義務の違反者に対する罰金を10日から引き上げる。今年1月に250ドルからとしていた初回違反者への罰金額は500─1000ドルと倍になる。違反を繰り返した場合は1000─3000ドルの罰金を科す。