[イスタンブール 8日 ロイター] - トルコ中央銀行のカブジェオール総裁は8日、現在19%の政策金利は十分に引き締め的で、インフレ率は第4・四半期に低下するとの見通しを示した。市場では金融緩和の用意があると受け止められ、通貨リラが急落した。

ドイツ・トルコ商工会議所で講演し、中銀が政策を決定する上で、総合インフレ率より低い水準にあるコアインフレ率の重要性が増していると指摘した。

「トルコの金融政策スタンスは引き締め的であり、世界的に物価が上昇する中でもインフレ率を押し下げるのに十分だ」と語った。

8月のインフレ率は19.25%と政策金利を上回った。

「インフレ率は第4・四半期に鈍化基調に入ると考えている。食品を除いたインフレ率は年内、総合インフレ率を下回ると予想している」と述べた。

その上で、今年夏の食品価格の上昇率は歴史的なトレンドを大幅に上回ったと指摘。「新型コロナウイルス感染拡大を受けた異例の状況の中で、短期的なボラティリティーの影響が調整されたコアインフレ率の重要性が増している」と語った。

政策金利は3月以降、19%に据え置かれている。カブジェオール氏は過去数カ月、政策金利をインフレ率よりも高い水準に維持すると表明していたが、先週の投資家会議と同様にこの日もそうした発言はしなかった。

総裁は融資金利が高く、国民の資金へのアクセスが制限されているとも発言。

インフレと外貨準備には改善の余地があるが、データを見ると、輸出とサービスが経済成長を押し上げているとも述べた。

同国のエルドアン大統領は、高インフレにもかかわらず、中銀に金融緩和を求めている。中銀は23日に政策決定会合を開く。

総裁が公の場で講演するのは異例。講演を受けて、リラは一時1.5%下落し、1ドル=8.48リラとなった。1日の下げ幅としては5月以来の大きさとなる。

スピン・コンサルティングのパートナー、オズレム・デリシ・セングル氏は「中銀がコアインフレ率の若干の減速を恒常的なものと見なせば、早くて今月の決定会合で利下げが議題に上るとの観測が台頭し、リラ相場のボラティリティーが高まった」と述べた。