[シドニー 7日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は7日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを予想通り過去最低の0.10%に据え置くとともに、債券買い入れを予定通り縮小した。

新型コロナウイルスワクチン接種の加速によりロックダウン(都市封鎖)が緩和され、景気が急回復すると見込む。

債券買い入れを10億豪ドル(7億4520万米ドル)減額の週40億豪ドルとしたのは、市場の一部では意外感をもって受け止められた。中銀は同時に、このペースでの債券購入を少なくとも2022年2月半ばまで延長することを決定。現実と折り合うためのハト派的な動きと捉えられた。

ロイター調査では、アナリスト37人中36人が金利据え置きを予想。債券買い入れ縮小については、アナリスト25人中10人が延期を予想、15人が延期はないと回答していた。

シドニー、メルボルン、キャンベラのロックダウンにより第3・四半期は国内総生産(GDP)がマイナス成長に陥ると予想されており、テーパリング(量的緩和縮小)を延期するとの観測があった。

中銀のロウ総裁は景気が痛手を受けていると認めた上で、先行きについて楽観的見方を堅持した。

「デルタ変異株の感染拡大により景気回復が遅れる見込みだが、腰折れするとはみられていない」と強調。「ワクチン接種率がさらに上昇し、制限が緩和されれば、景気は持ち直すはずだ」と語った。

連邦政府は、成人人口の70%がワクチン接種を受ければ行動制限措置を緩和し、ワクチン接種率が80%に達すれば大規模なロックダウンを解除する計画。ただ、一部の州はこの計画に難色を示している。ワクチン接種を完了した人は10月までに人口の70%、11月までに80%に達すると予想されている。

ロウ総裁は今後見込まれる景気回復の時期やペースについては不透明感があるとし、今年序盤の回復局面よりペースは鈍くなるとの見通しを示した。

このため、理事会は経済情勢および公衆衛生の状況と照らし合わせて債券買い入れの見直しを継続すると述べた。

RBCキャピタル・マーケッツの豪フィクストインカム戦略責任者スリン・オン氏は「われわれは中銀の決定をハト派的テーパリングと呼んでいる。40億豪ドルの買い入れペースを少なくとも6カ月継続すると確約したからだ」と指摘。

「テーパリングに前向きな一方で、さらに長い期間続けるというのは、中銀が金融システムに対する大規模な刺激策を依然実行しているということだ」と述べた。

中銀はまた、賃金上昇率とインフレ率が目標水準に到達すると期待される24年までは、利上げは行わないとの見通しを改めて示した。