[ニューヨーク 3日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、8月の雇用統計が予想を大幅に下回ったことを受け、ドル指数が低下した。

米労働省が朝方発表した8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比23万5000人増と、市場予想の72万8000人増を大きく下回り、過去7カ月間で最も低い伸びにとどまった。新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」の感染拡大に伴い、飲食業中心に採用を手控える動きが広がった。

主要6通貨に対するドル指数は91.941と、8月4日以来の安値を更新。終盤の取引では0.231%安の92.014。低下は4日連続。週初からは約0.7%低下した。

パウエルFRB議長は8月27日に行った米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での講演で、テーパリング(量的緩和の縮小)開始時期は年内が適切との見方を示しながらも、急がない姿勢を表明。以来、ドル相場は先行き不透明な展開が続いていた。新型コロナの感染再拡大で景気回復が頓挫するとの懸念が出る中でこうした雇用統計が発表されたことで、FRBは現行政策を維持する可能性がある。

TDアメリトレード(シカゴ)の先物・外為マネジング・ディレクター、JB・マッケンジー氏は、市場はこれがトレンドになるのか見極めようとしていると指摘。「FRBは景気が過熱し対応が必要になれば対応するとし、透明性が重要とのメッセージを送ろうとしている。市場では一つの明確な方向性が示されていると受け止められており、このため、大きな下向きの動きは見られていない」と述べた。

この日に発表された別の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の8月の非製造業総合指数(NMI)が61.7と、前月に付けた過去最高の64.1から低下した。市場予想は61.5だった。

ユーロは米雇用統計を受け上昇。1.1909ドルと、7月30日以来の高値を更新した。終盤の取引では0.15%高の1.1891ドル。

円は対ドルで0.29%高の109.62円。上昇は主に米雇用統計への反応で、菅義偉首相が自民党総裁選への不出馬を表明し、就任から約1年で首相を辞任する運びになったことには大きく反応しなかった。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.2%高の5万0358.39ドル。イーサは4.48%高の3956.04ドル。一時は4025ドルまで上昇し、5月15日以来初めて4000ドル台に乗せた。

ドル/円 NY終値 109.73/109.76

始値 109.91

高値 109.96

安値 109.60

ユーロ/ドル NY終値 1.1882/1.1884

始値 1.1869

高値 1.1908

安値 1.1867