2021/9/2

今、がんばる人が報われる世界へ。信頼でつながるSNSが描く新時代のキャリア

NewsPicks Brand Design Senior Editor
 今、日本のキャリア形成は、大きな転換点にある。終身雇用の終焉が語られ、コロナ禍でリモートワーク・副業という新しい働き方も拡大。
 そんな中、“信頼でつながる”キャリアSNSとして著しい成長を続けているのが、2017年創業の「YOUTRUST(ユートラスト)」だ。
 YOUTRUSTが目指すのは、「信頼される人が報われる転職市場」
 これまでの常識から一歩先を行く、日常の延長線上にあるキャリア形成のカタチ。そして、信頼の積み重ねが望むキャリアにつながる仕組みとは。
 YOUTRUST代表取締役・岩崎由夏氏が、キャリアSNSが変える日本の転職市場の未来を語る。

「人材流動性を上げろ」日本の危機感

岩崎 現在、YOUTRUSTのユーザー数は5万人以上、2020年4月同月比でユーザーは5倍、売上は10倍に伸びています。
 副業解禁が本格化し、副業への関心の高まりに加え、コロナ禍でのリモートワーク普及も追い風となり、加速度的に成長を続けてきました。
 また、コロナ以前からの社会的な背景として、2019年に経団連の中西前会長からも発信された「終身雇用の限界、見直し」という日本の雇用市場全体の変革への動きがあります。
 大きな変化の渦にある日本のキャリア市場で、これまでのサービスにはなかった“信頼によるつながり”を重視した「キャリアSNS」というYOUTRUSTのコンセプトを時代が求めていたのだと感じます。
 そもそもなぜ今、日本のキャリア市場に変革が必要なのか。
 たとえば、人材の流動性が高いアメリカの場合、生涯転職回数は平均11回、1社あたり4年ほどで転職するのが一般的です。
 対して、日本の転職回数はたった2、3回。生涯同じ会社でしか働いたことがないという方が多くいるほど、流動性が非常に低い。
「10年勤続者が10%減ると、国の潜在成長率が1.4%上がる」という分析データもありますが、逆にいえば、人材の流動性の低さは、国の経済成長率の低さに通じるわけです。
 それはそうですよね。人材流動性が高ければ、生き残るために自身の市場価値を高める努力が常に必要になります。「一度就職したら定年まで安泰」という意識でいる人と、自分を高め続ける人では、どうしてもインプットやアウトプット、双方の質・量ともに差が生まれるでしょう。
 このまま人材流動性が低い状態では、日本は世界に勝てないどころか、じわじわと終わりを迎えることになる。国が政策として副業・兼業を推進しているのは、そんな危機感もあるからです。
 今後、人材流動性の向上は必然の流れです。
 そう考えると、働くビジネスパーソンとしては、自分にとって良いチャンスがあればいつでもすぐに次のキャリアに向けて動き出せる環境が理想です。
 しかし実際は、転職するぞ!と決めてから初めて履歴書や職務経歴書を書いて、何社も面接を受けることになる。書類や面接だけでお互いのすべてを理解するのは難しいので、ミスマッチも起こります。今の転職活動はハードルが高くてしんどいのが実情です。
 そんな苦しい思いをしなくても、日常生活を送っているだけで、自然に自分に合った転職や副業の情報をキャッチでき、キャリアの可能性が広がる。それが、私たちが目指す世界観です。
 YOUTRUSTが浸透することは、すなわち、日本の人材の流動性を上げることになるはずです。

「フェアではない」日本の転職市場

 このようにマクロでは、日本の国力を上げるためのキャリア市場の転換という課題がある一方で、ミクロで見ると、私自身が採用担当者や転職当事者として実感した既存のキャリア市場への違和感もありました。
 5年ほど前、前職のディー・エヌ・エーでは採用を担当していましたが、中途採用では転職エージェントが企業と求職者をつなぐのが一般的です。
 企業は優秀な人材を確保するために高い手数料を設定し、エージェントは手数料の高い企業から優先的に紹介することがどうしても構造的に多くなってしまいます。
 ほとんどの求職者は、こういった業界のビジネスモデルによる力学や誘導に気づかないまま、紹介された中から転職先を決めていきます。
 決して転職エージェントが悪だという話ではなく、「これって、求職者様の人生にとってフェアな仕組みじゃないな」と採用を担当しながらも、もどかしく感じていました。
 加えて、自身が転職を考えたときも、履歴書と職務経歴書を書いて、何社も面接を受ける既存のプロセスがすごくめんどくさかったんです。
 知らない企業に履歴書を送るよりも、「これまでの自分の働きぶりをよく知ってくれている、身近で信頼のおけるところに転職したいんだけどなぁ」と。
 そんな仕組みがないのであれば、自分でつくればいいんじゃないかと思ったのが、創業の直接的なきっかけになりました。
 このように当初は「私たちが転職市場を変えてやるんや〜!」と意気込んでスタートしました。
 ところが、いざ、蓋を開けてみると、社会的に副業の気運が高まったこともあり、「副業したい」「副業人材を紹介してほしい」という声が驚くほど多かった。
 大手がひしめき合う転職市場と違い、当時、副業の分野はまだ誰も制していないブルーオーシャンでした。我々のようなスタートアップでも、十分に勝ち目がある。
 私たちの「信頼でつながる」というコンセプトにも、副業マッチングは合っていると考え、今までは副業を起点にサービスを拡大してきました。
業界のそうそうたる経営者らが募集をかけ、大きな話題を呼んだ「すごい副業」「かなう副業」
 とはいえ、単なる副業マッチングサービスで終わるつもりはありません。
 私たちの目標は、日本のキャリアのあり方を変えること。
 働き方改革、人生100年時代、さらにはコロナ禍という社会の変化の中で、副業が浸透することは、日本の新たなキャリア形成につながっていくはずです。
 副業の需要も広がり、エンジニアやデザイナーといった一部の専門スキルを持つ人材だけでなく、人事や営業など全職種、すべての人にチャンスがすでに広がっています。
 副業をきっかけに転職したり、自身の市場価値への自信を深めることでキャリアの選択肢が広がったり。そんなキャリアが当たり前になることで、10年後には、転職はもちろん、副業した経験がないことが驚かれるような社会になると確信しています。

日常とキャリアをつなぐSNS

 YOUTRUSTの最大の特徴は、既存の大手転職サイトやエージェントと違い、SNSをベースにしたサービスということ。
 利用者は、今すぐ転職や副業をしたい方には限りません。
 今すぐのキャリアチェンジは考えていなくても、単純にSNSとして仲間とつながり、投稿ややりとりを楽しんでもらえばいい。
 もし「転職したい」「副業したい」タイミングが来たときには、転職や副業意欲のステータスを変更することができます。
転職・副業意欲のステータスは4段階で選択できる。同じ所属先や公開したくない企業に所属するユーザーには公開されず、SNSのつながりを通じて、声がかかる可能性がある
 ステータスを変更すると、自分がつながっている人とその1つ先、つまり「友達」「友達の友達(公式リクルーターのみ)」から見ることができます。
 採用を考えている企業側は、その人の「人となり」がつながりや投稿からわかるので、その情報をもとに「じゃあ、うちがマッチするんじゃない」「話を聞いてみない?」とコミュニケーションできる。
 なかには、ステータスを変えたら、たった2秒でメッセージが届いて、その日に副業先が決まったというケースもありました。
 また、YOUTRUSTには、自己紹介のほかに「紹介コメント」による他己紹介の機能があります。
その人の得意なことや、実は知られていないすごいところなど、一緒に働いたことのある人にしかわからない魅力を伝えてもらい、信頼する人のキャリアが広がるきっかけづくりを皆でし合う仕組み
 他己紹介がたくさん集まっていた方が、それをきっかけにスカウトされたり、投稿内容が採用担当者の目に留まって、自社のカルチャーにフィットしそうだと声がかかったりした例もあります。
 SNS上で自分がなにげなく発信したり、他人が評価したりしてくれることが、そのまま自己表現の場となることで、もはや肩肘を張った転職活動は必要なくなります。
 日常の延長線上で、ごく自然にキャリアオポチュニティをつかむことができる。
 これは、ユーザーにとって大きなメリットだと思います。
 また、もちろん、すぐに転職や副業は考えていなくても、タイムラインを通じて友人や同世代のビジネスパーソンの発信を自然にキャッチすることで、「仲間のがんばりを応援」「ビジネスに強い人たちの脳みそをのぞく」感覚で、日々の学びを得ることもできます。
SNS形式のタイムラインで、つながった友人たちのキャリアの近況や、日々の学びを自然にキャッチ
 SNSはさまざまありますが、ビジネスやキャリアというキーワードにぴったりくるものは少ないですよね。そこにうまくハマるのが、YOUTRUSTです。
 社外の同職種コミュニティをつくる場として活用している方も少なくありません。
 採用側の目線で見ると、少子化で労働人口が減少する中で、今後の採用は、今すぐには転職を考えていない潜在層にいかに早くタッチするかがメインとなっていくのは確実です。
 転職の顕在層は1割、潜在層は6割といわれていますが、より上流にいる潜在層にアプローチするためには、YOUTRUSTのように日常的なサービスで、副職・転職フラグが立った瞬間を逃さないことが勝負の分かれ目になってきます。
 YOUTRUSTでは、さらにそこに「信頼できる人」であるという要素もプラスされます。

「信頼される」ために必要なこと

 ただ近年、キャリアの可能性を広げるためにSNSで「自己ブランディングせよ」といった風潮がありますが、それを無理にがんばる必要はないと私は考えています。
 当然ですが、「SNSのフォロワーが多い=優秀な人」ではないからです。
 私が考える“本当に優秀な人”は、一緒に働いている仲間から信頼されている人です。
 立派な履歴書が書けて、SNSのフォロワーが1万人いる知らない誰かより、「あの人ともう一度、一緒に働きたい」とリアルな信頼を寄せられている人こそ、本当に仕事ができる優秀な人だと思うし、そんな人がちゃんと報われる社会をつくりたい。
 自己ブランディングのために、一生懸命発信しなくてもいい。それよりも、今やっている仕事で期待以上の成果を出すことのほうが、ずっと信頼という価値を生みます。
 あなたの今のがんばりは、絶対に誰かが見ているものです。
 人材の流動が今の10倍になったとき、あなたの隣で働いていた人が、あなたを信頼して仕事に誘ってくれる日が必ず来る。
 だからこそ、同僚や元の仲間と、ゆるくでもつながり続けておくことがマストな時代になったのだと思います。
 これまではスタートアップ業界を中心にユーザーを伸ばしてきましたが、最終的に目指すのは、日本のあらゆる企業の採用インフラになることです。
 雇用の流動性が高まることは必然で、今、働いている方は、いつか必ず転職に直面するフェーズがやってきます。
 そのときに、信頼というつながりをベースにキャリア構築ができる場としてYOUTRUSTを活用してもらいたい。
 そのためにも、さらに日常に浸透しやすいSNSとしての機能をアップデートしていきます。
 もっと、身近で、身軽にキャリアの転換を感じてもらえる社会へ。「日本型キャリアをゲームチェンジする」存在として、挑戦を続けたい。
 ぜひ、みなさんも登録して、日々の仕事をがんばる仲間の姿を、のぞいてみてください。