[東京 26日 ロイター] - 政府は26日、月例経済報告で8月の景気の総括判断を「持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している」とし、先月から判断を据え置いた。この表現は5月以来4カ月連続。企業収益の判断を6カ月ぶりに上方修正したが、個人消費は、サービス支出が抑制されているとし全体の判断を据え置いた。

景気の先行きについては、ワクチン接種が進む中、政府による政策や海外経済の改善などで持ち直しの動きが続くことが期待されるが、新型コロナウイルスの「感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」とし、表現を先月から変更した。7月は「感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある」としていた。

表現の修正の背景には、感染者数の増加や緊急事態宣言の対象地域拡大などで経済へのリスクが高まっていることがあるとした。

内閣府の担当者は、今後「個人消費が一段と弱まると、経済全体の持ち直し感が失われるリスクがあるとみている」と説明した。

項目別では、企業収益を「感染症の影響により、非製造業の一部に弱さが残るものの、持ち直している」とし、先月の「非製造業では弱さが見られるものの、総じてみれば持ち直している」から、6カ月ぶりに判断を引き上げた。

内閣府は、4─6月期の上場企業の経常利益が製造業・非製造業ともに反動などもあって前年比で大幅に増加したことなどを背景として挙げた。

一方、輸入は「このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる」とし、10カ月ぶりに判断を下方修正した。パソコンなど電算機類の輸入が一服していることや、原油など燃料の輸入水準が下がっていることなどが理由。

国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費については「サービス支出を中心に弱い動きとなっている」とし、7月に明記されていた「このところ」を削り、表現を変更したが判断は据え置いた。内閣府の担当者は、旅行などのサービス支出が抑制されており、エアコンなどの家電も以前ほどの勢いはないと指摘。また、30代以下の世帯主の家計は相対的に消費を行っているが、60代以上が世帯主の家計は消費を抑制しているとした。

輸出は、海外経済の回復により「緩やかな増加が続いている」との判断を先月から据え置いた。また、電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用機械など需要が旺盛だとして、生産の判断は「持ち直している」との表現を維持した。

一方、東南アジアでの感染拡大に伴う部品の供給不足や、国際的なサプライチェーンを通じた感染症の影響には注意が必要だとした。

※〔表〕月例経済報告の景気判断の推移

(金子かおり 編集:石田仁志)