[ロンドン 23日 ロイター] - アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンの要請を受け、イランが数日前にアフガン向け燃料輸出を再開したことが、イラン当局者の話で分かった。米軍の撤退を受け、タリバンは米経済制裁の対象となっているイラン産原油をより公然と輸入できるとみている。

タリバンによる権力掌握を受け、報復や厳格なイスラム法の適用を恐れる多数の市民が都市部から逃れたことから、同国のガソリン価格は1トン当たり900ドルに達した。

価格上昇に対応するため、タリバンはイランに貿易関係者の往来を維持するよう要請した。

イランの石油・ガス・石油化学製品輸出業者組合の役員で広報を担当するハミド・ホセイニ氏はロイターに対し、「タリバンはイランに『石油製品の輸出を継続してよい』というメッセージを送った」と明らかにした。

メッセージはイランの貿易業者や、政府と緊密なつながりを持つイランの商工会議所に送られたという。

これを受けてイラン税関当局は、アフガンでの貿易取引の安全性を巡る懸念から8月6日以降実施されていた燃料禁輸措置を解除した。

ホセイニ氏によると、タリバンの姿勢によってこうした懸念が和らいだという。

同氏はまた、タリバンがイランなど周辺国からの燃料輸入に課す関税を引き下げたことにも触れ、タリバンが発行した文書をロイターに見せた。

それによると、アフガン周辺国からのガソリン、ディーゼル、LPG(液化石油ガス)の関税は70%割り引くとされている。

<イランとタリバンの協力拡大も>

イランはトランプ前米大統領が2018年に復活させた制裁の影響で石油輸出が大幅に減少したが、ホセイニ氏によると、周辺国にトラックで燃料を運ぶなどして一定の輸出を行ってきた。米軍撤退でイランとアフガン双方の指導者は、よりオープンに取引することへの不安が和らいだという。

イランの石油ガス調査プラットフォーム、ペトロビューの報告書によると、イランは昨年5月から今年5月の間に約40万トンの燃料をアフガンに輸出した。

ホセイニ氏は「イラン新政府はタリバン政権との協力を大幅に拡大するだろう。イランはアフガンとの貿易を容易に倍増できる。ガニ政権は米制裁下のイランとの協力を常に限定しようとしていた」と語った。