2021/8/27

スプリンター×テクノロジーは「人類最速」を生み出すか

東京2020。アスリートを支えるさまざまな「人」や「テクノロジー」そして「想い」が集結している。今回の『WEEKLYオリパラ』では「ブレードランナー」に挑んだ人たちのストーリーを紹介。
健常者の限界が、人類の限界ではない──。
2016年のパラリンピックリオデジャネイロ大会はそれを世界に知らしめた。
「パワーリフティング」の107kg超級で、イランのシアマンド・ラフマンは310kgのバーベルを上げた。
下肢障がいの選手による「パワーリフティング 」は、ベンチプレスの重量を競う。ラフマンの記録は、当時の健常者の世界記録を35kgも上回り話題となった。
リオ大会でもう一つ、注目を浴びたのが1500M走。T13(視覚障がいのクラス)で金メダルを獲得したアルジェリアのアブデラディフ・バカはリオ・オリンピックで金メダルを果たしたアメリカのマシュー・セントロウィッツよりも速いタイムを叩き出した。
そればかりか、このレースでは上位4人がマシュー・セントロウィッツのタイムを上回っていた。
いずれも競技の単純な比較はできないが(例えばリオ五輪の1500Mの優勝タイムは世界記録と比較して24秒も遅い)、それでも健常者と障がい者の距離は確実に縮まっており、それは来年に控えた東京五輪でもより顕著になるだろう。
事実、車いすのマラソンレースでは50km以上の速度が出るようになっているし、パラアスリートでもっとも有名な走り幅跳びのマルクス・レームはすでに健常者の世界記録に迫っている。
一体何が起きているのか。欠かすことができないのが「身体をコントロールする能力や器具の進化」である。