【ソウルからヨボセヨ】カブール陥落の悪夢 黒田勝弘
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いつも秀逸なエッセイを書いて新鮮な視点を提供してきた産経新聞の黒田勝弘記者のエッセイ。今回もじっくりと読んだ。最後の「実は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の父も当時、興南埠頭から米軍のおかげで釜山に逃れてきた脱出避難民の一人だった。文大統領は今、カブールの光景と米軍の様子をどんな思いで見ているのだろうか」という文章は、ワサビが効いている。文在寅氏がいまあるのは朝鮮戦争のときに大混乱のなか、米軍が救出作戦を展開して北朝鮮地域から韓国に逃れてきた文在寅氏の父の経験があったからだった。文在寅政権下では「韓国がいつまでも米軍に頼っていては南北対話がやりにくくてしょうがない」というムードを追い風にしてきた。しかし、いま米国が「韓国は自力でしっかりと自国を守れる」と宣言をして米韓同盟が終焉したら、韓国は数カ月で第二のアフガンになるだろう。米国のハイテク兵器で武装した30万のアフガン政府軍はひとたまりもなかったではないか。軍事装備のデータをもとに「軍事バランス」を根拠に勝敗の行方を占うことがいかに無意味であるかを世界は知った。北朝鮮の多連装ロケットの脅威を前に、韓国は防ぎようがない。
アフガン情勢の展開は韓国社会に衝撃を与えた。米軍はいつまでも多額の予算を投入して身体を張って現地の安全、安定を考えてくれるわけではないという教訓ははっきりしている。韓国社会の在韓米軍批判、米国の政策批判がどの方向に向かうのかに注目している。