[ジャカルタ 19日 ロイター] - インドネシア中銀は19日、主要政策金利の7日物リバースレポ金利を最低水準の3.50%に据え置いた。

中銀は、通貨ルピアにさらなる下落圧力を与えずに、新型コロナウイルス危機からの景気回復下支えに取り組んでいる。

政策金利据え置き決定は、ロイターの調査に回答したエコノミストの大半が予想していた。翌日物預金ファシリティー金利と貸出ファシリティー金利も、それぞれ2.75%、4.25%に据え置いた。

中銀のペリー・ワルジヨ総裁は会見で「もう一度言わせてほしい。今年の中銀の政策は全て景気配慮型だ」と発言。「低金利と潤沢な流動性という金融政策は継続される」と述べた。

また、ワクチン接種の進展と経済活動の再開で今年下半期も景気の回復が続く見通しだが、デルタ株と米国のテーパリング(量的緩和の縮小)見通しがリスク要因だと指摘した。

ルピアはここ2週間、米国のテーパリング観測を背景に緩やかに下落してきたが、中銀の発表後はやや下げ渋り、前日終値比0.2%安となった。

総裁は、米国のテーパリングについて、2013年のテーパータントラム(量的緩和縮小に伴う市場の混乱)ほどの大きな影響はないと予想。中銀にはテーパリングの影響に対応する政策手段があると述べた。13年のテーパータントラムでは資本が流出し、ルピアが20%下落した。

総裁は、資本流出の可能性に備えるため、通貨安定に向けた措置を講じるとも述べた。

今月発表された第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年比7.07%増と予想を上回ったが、一部のアナリストは7月に導入された新型コロナ対策の移動制限で見通しが悪化する恐れがあると分析している。

ただ、移動制限は段階的に緩和されており、新規感染者数も7月中旬にピークを付けた後、減少に転じている。ジャカルタなどの都市ではレストランの屋内飲食が認められており、ショッピングモールも稼働率50%で営業している。

インドネシアは累計感染者が400万人近く、死者は12万1000人以上と東南アジアで最悪の被害を受けている。

中銀は昨年初め以降、計150ベーシスポイント(bp)の利下げを実施。国債引き受けも含め570億ドルの流動性を金融システムに供給した。

DBSのエコノミスト、Radhika Rao氏は「ルピアの安定を保つ必要もあり、中銀はきょう政策金利を据え置いた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で年内のテーパリング開始の可能性が浮上した直後だった」と述べた。

ペルマタ銀行のエコノミスト、Josua Pardede氏は、FRBがテーパリングを開始すれば、中銀が市場の余剰な流動性を一部吸収し始めるだろうとの見方を示した。

中銀は21年の経済成長率予測を3.5─4.3%で据え置いた。総裁は、景気回復を支援するため、中小企業向けの融資拡大に向けた規定を来月1日に発表する方針を示した。