[マニラ 12日 ロイター] - フィリピン中央銀行は12日、政策金利の翌日物リバースレポ金利を予想通り過去最低の2.0%に据え置いた。

新型コロナウイルスの流行に伴う新たな制限措置の導入を受けて、景気回復の見通しが悪化しており、緩和的な政策を維持し、景気を下支えする。

中銀は、必要な限り金融緩和を継続する方針を示した。

据え置きは6会合連続。ロイターが調査したエコノミスト11人全員が据え置きを予想していた。

翌日物預金金利と翌日物貸出金利も、それぞれ1.5%と2.5%に据え置いた。今年と来年のインフレ率予測は小幅に上方修正した。

ジョクノ総裁は会見で「新型コロナの感染拡大に歯止めを掛けるための隔離措置の再導入が、現在の景気回復のリスクになり得ると判断した」と表明。金融緩和を維持し、必要に応じて政策を調節する用意があるとした上で、インフレに対するリスクは均衡が取れていると述べた。

一部のエコノミストは、物価上昇を踏まえると、追加緩和の余地は限られていると指摘。政府が財政出動すべきだとの認識を示している。

ただ、年内の利下げの可能性は排除できないとの見方もある。キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アレックス・ホームズ氏は「インフレ率は鈍化し、景気の見通しは一段と悪化している。われわれは追加緩和が近いと考えている」とし、次回9月の政策決定会合で利下げがあると予測した。

7月のインフレ率は今年初めて、中銀の目標レンジ(2-4%)内に入ったが、レンジ上限にとどまっている。

中銀は2021年の平均インフレ率予測を4.0%から4.1%に上方修正。2022年と23年についても、ともに従来予測の3.0%から3.1%に上方修正した。

ジョクノ総裁は、財政支援とワクチン接種加速が、公衆衛生を守り、景気の悪化を防ぐ上で重要だと指摘した。

フィリピンで12日に報告された新型コロナの新規感染者は1万2439人と、過去4カ月で最多。2日連続で1万2000人を上回った。

フィリピン統計局が10日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比で約30年ぶりの高い伸びとなったが、前期比ではマイナス成長を記録した。