[ソウル 10日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は10日、金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)党副部長の談話として、米国と韓国は自滅的な軍事演習を行うことによって安全保障上のさらなる脅威に直面することになると伝えた。

聯合ニュースは9日、米韓が10日に予備的な軍事演習を始めると報じた。北朝鮮は今月初め、米韓が軍事演習を実施すれば、南北の関係改善が後退するとけん制していた。

KCNAによると、与正氏は談話で「(演習は)歓迎されない自滅行為」であり、北朝鮮人民を脅かし、朝鮮半島の緊張を高めると非難。

「米国と韓国は、われわれの度重なる警告を無視して危険な軍事演習を実行すれば、より深刻な安全保障上の脅威に直面することになる」とけん制した。

また、韓国と北朝鮮のホットライン(直通電話回線)が再開されて間もない中で軍事演習を行うことは「不誠実な扱い」だとして韓国を非難した。

韓国国防省は9日、軍事演習の時期、規模、構成はまだ決まっていないと説明。在韓米軍はコメントを避けた。

与正氏は、米軍の行動は外交交渉に前向きだとする米政府のコメントが朝鮮半島における侵略を偽善的に覆い隠すものであることを示していると指摘。米国が韓国における軍事力を撤廃することによってのみ平和は可能になるとした。

その上で、北朝鮮はさらに高まる米軍の脅威に対抗するため、「強力な先制攻撃能力」を含む「絶対的な抑止力」を強化すると表明。「言葉ではなく、実際の抑止力のみが朝鮮半島の平和と安全を保証できることを現実は証明しており、外部の脅威を強力に抑止する力を構築することがわれわれにとって必要不可欠だ」とした。