2021/8/10

早期退職が目的じゃない。「ゆるFIRE」を目指す人が急増中

INDEX
  • コロナで火が付いた投資ブーム
  • 拡大する「FIRE」の概念
  • 「いつでも辞められる」ための準備
  • 仮想通貨ブームから「投資の基本」へ
  • 早期退職を目指せば「今」が良くなる
  • リストラされても気持ちに余裕

コロナで火が付いた投資ブーム

2020年3月16日、新型コロナウイルスのパンデミックを受けたパニックがウォール街を席巻し、株式市場が歴史的な急落を記録するなか、臨床心理士のトレイシー・ウィリアムズは初めて株を買った。
「友人から、株が大安売りされていると聞いたんです」と、彼女はそのときのことを振り返る。「株のことは何もわからなかったけれど、一度も使ったことのないロビンフッドのネット証券口座は持っていました。だからディズニーの株を1株買いました」
以降、株価は2倍近くに高騰している。
この日を境に、ウィリアムズは自分の資産について抜本的な見直しを始めた。トリニダード・トバゴ出身の移民で現在37歳の彼女は、アトランタの病院に勤務している。
「パンデミックで、安全がいかに脆いものか気づかされました」と彼女は言う。「患者さんの中には、『今はビーチハウスに避難しているから大丈夫』という感じの人もいれば、『どうやってステイホームしながら子どもを養っていけばいいのか』と悩んでいる人もいます。その格差を目のあたりにして、金銭面の準備をきちんと整えておかなければと痛感したのです」
(zf L/Getty Images)