[伊豆(静岡) 6日 ロイター] - 「嬉しい」「最高」、試合後の選手がミックスゾーンのインタビューで答える第一声はみなそう変わらない。へとへとの状態で興奮も頂点だ。複雑な質問に答えられる状態ではないのだろう。だが、息や気持ちが落ち着き始めると、選手の個性が徐々に見え始める。

私が取材した自転車のトラック競技では、表彰式後にインタビューがあるため、金メダリストたちの「キャラクター」の違いが強く出ており、興味深かった。

    「絶対に勝てるとチームの全員が思っており、最高のレースを見せることができた。競う相手ではなく、自分たちの走りだけに集中したことの成果」。男子スプリントではオランダの自信に満ちた受け答えが印象的だった。ワールドカップを3回制し、今大会も予選から決勝まで全てで五輪新記録を叩き出したのだから、貫禄も出るはずだ。

    女子パシュートのドイツは競技場の特徴やそれに合わせてどう練習してきたかなどを順序立てて説明してくれた。その分析力が栄冠を引き寄せたと思わせる詳細でわかりやすい内容だった。

    女子スプリントの中国からは、チーム内での信頼を感じた。前回のリオ五輪に続き金を取った選手が引退を宣言した後、「これからは後輩たちに任せる」と肩を抱き寄せた若い相棒のまなざしから、2人の結束が伝わってきた。お国柄というよりも、年長者の人柄がチームの雰囲気を作るのかもしれない。

    男子パシュートのイタリアはやはりというか陽気。優勝を決めた瞬間に若手選手は号泣してチームメイトに抱きつき、エースは高々と自転車を掲げて喜びを表した。インタビューでは「どこで祝杯を挙げるかって?もちろんイタリアだよ、ハハハ!」と、どこまでも明るかった。

(田中志保)