[ドバイ/ロンドン 3日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)沖でイランが後ろ盾となる勢力により石油タンカーが拿捕(だほ)された可能性があることが、複数の海上保安関係筋の話で明らかになった。

これに先立ち、英海運貿易当局は3日、この海域で「乗っ取り」が発生した可能性があるとして厳重な警戒を呼び掛けていた。

イラン革命防衛隊は、事件がイランに対する「敵対的な行動」の口実だとして、関与を否定している。

関係筋によると、乗っ取られたとみられるのはパナマ船籍のアスファルト・ビチューメン運搬船「アスファルト・プリンセス」。海上交通の要衝であるホルムズ海峡に向かうアラビア海で乗っ取られたとしている。

英国海運貿易オペレーション(UKMTO)はサードパーティーの情報に基づき、「乗っ取り」が発生した恐れがあるとして、UAEのフジャイラ首長国の東方沖を航行中の船舶に厳重に警戒するよう呼び掛けていた。

米国務省は声明で、現時点で判断を下すのは時期尚早としながらも、懸念を表明。ホワイトハウスのサキ報道官も懸念を表明した上で、「状況を注視しており、英国などとともに緊密に連携している」と述べた。

英外務省は「迅速に情報収集を進めている」とした。

複数の米当局者は匿名を条件に、米軍が少なくとも1隻の艦艇をアスファルト・プリンセスの周辺に再配置する見通しだと述べた。近く軍事行動を起こすためではなく、状況を監視するためという。

この海域では先週、日本企業が所有する石油タンカー「マーサー・ストリート」が攻撃を受け、英国人とルーマニア人の乗組員2人が死亡する事件が発生。緊張が高まっていた。