[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は3日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置くとともに、予定通り債券買い入れの縮小を進める方針を示した。

同国では、新型コロナウイルスのデルタ変異株を中心とする感染の再拡大でロックダウン(都市封鎖)が導入されており、市場では債券買い入れの縮小延期あるいは拡大が予想されていた。

政策金利据え置きは8会合連続で、市場の予想通りだった。

中銀は、インフレ率が2─3%の目標範囲内に持続的に収まるまでキャッシュレートは引き上げない方針を改めて表明。2024年までこの利上げ条件が満たされることはないとの見方を示した。

また、7月の理事会で決定した通り、債券買い入れの規模を9月上旬以降、現行の週50億豪ドルから週40億豪ドルに縮小すると発表した。

発表を受け、豪ドルは0.7408米ドルまで上昇した。

中銀のロウ総裁は理事会後の声明で、昨年のコロナ禍のリセッション(景気後退)から予想以上に力強く回復した豪経済について明るい見方を示した。一方で、「最近の感染拡大は景気回復を阻害しており、第3・四半期国内総生産(GDP)は減少する見込みだ」と述べた。

ただ、これまでの経験に基づくとウイルスの流行が収束すれば経済はすぐに立ち直るとも指摘。豪経済は「大規模な」政策支援の恩恵を受けており、現行のコロナワクチン接種計画も景気回復を助けるとの見方を示した。

豪中銀は今回、2022年の経済成長率を4%強、23年の成長率を2.5%程度と予想した。だが、ロウ総裁は今後数カ月の景気見通しは「不透明だ」とした。

中銀は、賃金の伸びとインフレの双方の大幅な加速は依然見込んでおらず、このことはキャッシュレートが当面、過去最低水準に据え置かれることを意味している。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、マーセル・ティーリアント氏は「修正後の中銀の予測は、明らかにタカ派的だ」とし「資産買い入れの縮小を延期しなかったのは、タカ派のシグナルであり、2023年初めに利上げがあるとの当社の見解と一致している」と述べた。

過去1週間に実施したロイターのエコノミスト調査では、利上げ時期の予想が2023年第3・四半期に後ずれした。従来は第2・四半期に15ベーシスポイント(bp)の利上げがあるとの見方が多かった。

中銀は2022年のインフレ率を1.75%、2023年を2.25%と予測。労働市場の見通しも改善し、2022年末の失業率を4.25%、2023年末を4%と予測した。6月の失業率は4.9%だった。

中銀は6日に詳細な予測を公表する。