[ブリュッセル 2日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は2日、米フェイスブックが顧客管理サービスを手掛ける米カスタマー(Kustomer)を買収する計画について、競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。競争を阻害し、オンライン広告で一段と優位になる恐れがあるとした。

フェイスブックは昨年11月にカスタマーを買収すると発表。傘下の対話アプリ「ワッツアップ」のサービス拡充を狙う。

カスタマーは企業が電話やメールだけでなくワッツアップや画像共有アプリ「インスタグラム」などで顧客と対話するのを支援する顧客情報管理(CRM)ソフトを手掛ける。

欧州委は、フェイスブックがカスタマーを買収した場合、CRMソフトの鍵となる対話アプリのワッツアップや「メッセンジャー」、インスタグラムを競合社が使えないようにする可能性があると指摘。

また、オンライン広告のターゲットを絞るためにカスタマーの顧客データを活用し、競合社に対して一段と優位になる恐れがあるとした。

欧州委のベステアー上級副委員長(競争政策)は「特定の市場を既に支配している企業による潜在的に問題のある買収を綿密に精査する必要がある」と強調。「とりわけデジタル部門でそのような必要性があり、フェイスブックはオンラインのディスプレー広告とメッセージサービスの両方でトップの地位を確立している」とした。

フェイスブックは、今後も欧州委の調査に全面的に協力すると表明。文書で、カスタマー買収は「競争促進的で、活力があり競争が激しCRM分野で企業や顧客にさらなる技術革新をもたらす」と主張した。