[30日 ロイター] - 7月の世界の国債市場は2020年3月以来で、月間ベースで最大の値上がりを享受した。新型コロナウイルスのデルタ株を巡るリスクや、金融緩和の巻き戻しはまだずっと先になるとのメッセージを主要中銀が打ち出したことが背景だ。

経済回復が見込まれたほど強くないとの懸念がまず相場を押し上げ、値下がりに賭けていた市場参加者が競って買い戻しに動いたことで、値上がりが増幅されたという。

7月14日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長によるタカ派色を弱めた発言に続き、22日の欧州中央銀行(ECB)理事会は新たな2%のインフレ目標に向けた決意を表明。中国人民銀行は銀行の預金準備率を引き下げた。こうした中銀の行動は、相場を引き続き支えた。

ドイツとオーストリアの10年国債利回りの低下はいずれも20年1月以来の大きさとなり、月間で20ベーシスポイント(bp)を超えた。英10年国債も15bp近く下がった。

米10年国債利回りはコロナ大流行が引き起こした昨年3月のパニック相場以来の大きな低下となった。

エリック・スターザ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、パスカル・ペローン氏は「これまでで経験した中でもベストな月に入る」とし、米国債が大半を主導したと指摘した。

インフレ連動債(TIPS)の値上がりも目立った。政府の10年の実質借り入れコストはドイツと米国で約30bp低下し、過去最低を記録した。

米国のTIPSは7月の米消費者物価指数(CPI)が5%上昇と13年ぶりの高ペースとなったことを受けて、28日までの週に過去最多の32億ドルが流入した。

ドイツ10年国債の実質利回りは月間で、ドラギECB総裁(当時)がユーロ圏を債務危機から救う努力を強調した12年7月以来の大きな低下となった。

ただ、実質利回りの記録的な低下はしばしば懸念すべき兆候とも見なされる。経済成長の将来への悲観的な見方の表れだからだ。だから、今年の力強い経済回復を見込む多くの債券投資家は、債券相場への弱気な見方を維持したままだ。

銀行や資産運用の23人に対するロイター調査では、15人がなおも今年末の米10年国債利回りを約2%と予想している。

JPモルガンとバンク・オブ・アメリカは、ドイツ10年国債利回りが年末までには現在のマイナス0.45%から0%弱に上昇すると予想している。