[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した6月の個人消費支出(PCE)価格指数は、食品とエネルギーを除いたコア指数が前年同月比3.5%上昇と、1991年12月以来29年半ぶりの大幅な伸びを記録した。供給制約が物価を押し上げ、伸びは前月の3.4%からやや拡大。連邦準備理事会(FRB)の目標である2%を引き続き上回った。

市場予想は3.7%上昇だった。総合指数は前年同月比4.0%上昇し前月と変わらず。08年以来約13年ぶりの伸び率を維持した。

FHNフィナンシャルのシニアエコノミスト、ウィル・コンパノル氏は「経済再開で苦戦している地域中心に物価圧力が高まっているが、単に新型コロナウイルス禍前の価格に戻っている地域もあれば、生産能力を調整したりサプライチェーンの問題を解消することで、価格が落ち着く地域もある」と指摘。「向こう1年間でたとえPCE物価が毎月緩やかに上昇したとしても、前年比の伸びは当面高止まる」と予想した。

個人消費支出は前月比1.0%増加し、前月の0.1%減から持ち直した。内訳ではサービスが1.2%増加し、前月の1.0%増から拡大。外食や宿泊が好調だった。モノも前月の2.1%減から0.5%増へとプラスに転換する一方、品不足で自動車の購入が減少する中、耐久財は1.5%落ち込んだ。非耐久財は1.8%伸びた。

ムーディーズ・アナリティクスのシニアディレクター、スコット・ホイト氏は「健全で底堅い成長という全体的な傾向は来年にかけても続く見通しだが、その一方で下振れリスクも依然として根強い」とした上で、「新型コロナ感染の増加で経済が再び閉鎖される可能性は低いものの、全くないとは言えない。また、昨年春以降積み上がっている家計の余剰貯蓄を考えると、上振れリスクもまたあり得る」と分析した。

物価調整後の実質個人消費支出は0.5%増と、前月の0.6%減から反転。第3・四半期に向けて消費に勢いが見られる。個人所得は0.1%増。前月は2.2%減少していた。貯蓄率は9.4%と、前月の10.3%からさらに低下したものの、なお高い水準にある。