[ブリュッセル 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した第2・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は、前期比2%増、前年比13.7%増で市場予想を上回った。新型コロナウイルス感染防止のための規制が緩和されたことが寄与した。

ロイターがまとめたエコノミストの予想は前期比1.5%増、前年比13.2%増だった。

ユーロ圏も新型コロナ感染拡大で引き起こされたリセッション(景気後退)から回復したものの、域内GDPはコロナ禍前の2019年末時点と比べるとなお約3%縮小した水準。コロナ禍前のピークを上回った米国や中国に出遅れている。

こうした中、感染拡大抑制策の緩和を受けユーロ圏でも物価が上昇。EUが同日発表した7月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年比2.2%上昇となり、欧州中央銀行(ECB)の目標である2%上昇を上回った。

第2・四半期は、経済規模で域内3位と4位のイタリアとスペインが前期比で2.7%、2.8%増加したほか、観光が主要産業のポルトガルも4.9%成長した。

一方、域内最大のドイツは前期比1.5%増にとどまり、予想を下回った。同2位のフランスはコロナ規制緩和を背景に前期比0.9%増加で予想を若干上回った。

ただ、域内の多くの国では、感染力の強いデルタ株の拡大で、感染が再び拡大している。

統計局によると、6月のユーロ圏失業率は7.7%で、5月の8.0%から低下した。エコノミストの予想は7.9%だった。

INGのシニアエコノミスト、バート・コリン氏は、大規模な自動車産業を抱えるドイツが供給網阻害の影響を受けた一方、イタリアとスペインはコロナ禍前の水準を大幅に下回っていたため大きく成長した可能性があると指摘。INGは、新型コロナのデルタ変異株の感染拡大と供給網阻害の継続を踏まえても、ユーロ圏は第3・四半期も2%の経済成長を確保できるとの見方を示した。

キャピタル・エコノミクスは、ユーロ圏の第3・四半期成長率は2%をやや上回ると予想。欧州チーフエコノミストのアンドリュー・ケニンガム氏は「ドイツは下半期にコロナ禍前の水準を回復するが、南欧諸国は22年に入ってからしばらくするまでコロナ禍前の水準は回復しないとみている」と述べた。