[東京 30日 ロイター] - 野村ホールディングスが30日に発表した2021年4─6月期連結純利益(米国会計基準)は484億円(前年同期比66%減)になった。新設したインベストメント・マネジメント部門が利益をけん引した。一方で、米顧客関連取引に関連して654億円の追加損失を計上した。

新型コロナウイルスの感染再拡大に加え、5月前半の株価急落で、顧客の様子見姿勢が継続、株式売買や投信買い付けが減少した。一方で、資産拡大に向けた取り組みは奏功し、顧客資産残高は127兆円で過去最高を更新。その他、野村総合研究所の一部株式売却で362億円の売却益を計上した。

北村巧CFO(財務統括責任者)は会見で、1400億円のコスト削減目標を1年前倒しで達成したため、23年3月期に経費率75%(21年3月期は81%)を目指すという新たな目標を改めて示した。

主要3部門のうち、インベスト・マネジメント部門は、運用資産残高が65.8兆円で過去最高を更新。税前利益は449億円で前年同期比約2倍となった。野村キャピタル・パートナーズの投資先企業の新規上場により、評価益・売却益約240億円を計上。アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益も貢献した。

ホールセール部門は、米顧客関連取引の損失を計上。債券や為替を中心とするフィクスト・インカムは前年同期比43%減、エクイティは同88%減となった。

フィクスト・インカムの落ち込みについて「前年同期はここ数年で見ると異常に強かった」と振り返り「今期はかなり平準化している。水準は高い」とした。今後、ワクチンの普及による経済の再開、インフレ期待の高まり、中央銀行のテーパリング議論など、投資家がポートフォリオバランスを見直す材料は多いとし「悲観的な見方をしていない。今後もビジネスチャンスはある」との見通しを示した。

米顧客関連取引の追加損失計上は、すでに5月に公表済み。米顧客の相手先の名前は明らかにしていないが、複数の関係者によると、プライムブローカレッジ業務の顧客だった米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引に関連するものだという。4―6月期で関連ポジションの処理、損失計上はすべて完了した。北村CFOは「リスクを過少認識し、コミュニケーションやエスカレーションが遅くなってしまった」と分析した。