[東京 29日 ロイター] - 東京五輪の陸上男子100メートルは「ポスト・ウサイン・ボルト」の戦いとなるが、これまで1世紀以上にわたって同競技で支配的立場だった米国の覇権奪還が有力視される。

100メートルではウサイン・ボルト氏(ジャマイカ)が2016年リオデジャネイロ五輪で3大会連続金メダルを獲得するなど、長らく絶対的な存在として席巻していた。そのボルト氏が翌17年に現役引退すると、これまで同競技で圧倒するような選手は出てきていない。

米国は伝統的にこの競技で強さを発揮し、五輪28大会中最多の16大会で金メダルを獲得。しかし、2004年大会のジャスティン・ガトリンを最後に金からは遠ざかっている。

ただ、今大会では再び米国が頂点に立つかもしれない。世界王者のクリスチャン・コールマンはドーピング規定違反による処分で不在だが、2021年の最速タイム上位8人のうち7人が米国選手で占められている。

なかでも、トレイボン・ブロメルは先月に今年最速タイムの9秒77を記録しており、金メダルの有力候補。そして、そのブロメルの対抗馬とみられるのが、同じく米国のロニー・ベーカーだ。ベーカーは東京五輪の米国代表選考会で9秒85をマークし、ブロメルの9秒8に次ぐタイムだった。

両者の性格は対照的で、自称「サイレントキラー」のブロメルは注目されることを好まず。「他人の世界で生きると、自分のプランから外れることになる」と語っているが、ベーカーは「私は世界最高のランナーの1人」と自画自賛で脚光を浴びることを喜ぶタイプだ。