[シドニー 28日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が28日発表した第2・四半期の消費者物価指数(CPI)は、ガソリン価格の上昇などを背景に約13年ぶりの高い伸びを記録した。一方、コアインフレ率は低水準にとどまり、物価上昇が一時的なものである可能性が示された。

第2・四半期の豪CPIは前期比0.8%上昇、市場予想は0.7%上昇だった。前年比では3.8%上昇し、市場予想と一致した。

CPIの中銀トリム平均値は前期比0.5%上昇、前年比1.6%上昇した。

BISオックスフォード・エコノミクスの豪州担当チーフエコノミスト、サラ・ハンター氏は「新型コロナウイルスのデルタ株流行のリスクが高まっており、7-9月の国内経済は大幅なマイナス成長になるだろう」とし「このため、コアインフレ率は今後も低迷する可能性が高い」と述べた。

品目別では、ガソリンがCPIの上昇に最も寄与した。次にヘルスケア、生鮮食品、自動車が続いた。旺盛な需要と供給制約が物価を押し上げる要因となった。

CPIは前年比で大幅に上昇したものの、前年同期の物価が、新型コロナ対策の保育費補助などで低迷していたことが主因。

コアインフレ率は、豪中銀(RBA)の目標である2-3%を5年以上、下回っており、RBAは2%に到達するのは2023年半ば以降になるとの懸念を示している。

国内企業はコスト管理を重視しており、広範な賃金上昇圧力が存在しないことが、インフレ率低迷の大きな原因となっている。

さらにニューサウスウェールズ(NSW)州は28日、新型コロナウイルスの感染者増加に歯止めが掛からないため、州都シドニーのロックダウン(都市封鎖)を1カ月延長することを決定。

これを受け、7-9月の個人消費と雇用に悪影響が及び、これまでの急ピッチな景気回復が失速するとみられている。

CBAの豪州経済担当ヘッド、ガレス・エアード氏は、7-9月の国内総生産(GDP)が2.7%のマイナス成長になり、回復は11月以降になる公算が大きいと予想。

「21年第3・四半期の大幅なマイナス成長は既成事実だ。行動制限緩和後の速やかな景気回復を実現するため、再び大規模な政策支援が必要になるだろう」と述べた。