[ワシントン 19日 ロイター] - 米財務省は19日、ベトナム政府と行っていた為替相場の慣習を巡る協議で、ベトナム国家銀行(中央銀行)が通貨ドンの競争的な切り下げを実施しないことで合意したと明らかにした。

財務省は4月に公表した為替報告書で、スイスとベトナム、台湾が為替相場を操作した可能性があるとしながらも、「為替操作国」の認定は見送った。

その後協議を続けていたが、イエレン米財務長官とベトナム中銀のグエン・ティ・ホン総裁が19日にオンラインで協議し、合意に至った。

協議後に発表された共同声明で、ベトナムは国際通貨基金(IMF)規則に基づき競争的な為替操作の回避を確約した。

ベトナム中銀は、金融政策の枠組みでは「マクロ経済の安定とインフレ統制」を主眼に置いているとしつつも、通貨ドンが国内市場の発展や経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に沿って変動するよう「時間をかけて為替相場の柔軟性を改善」することに合意した。

米財務省は、昨年12月の為替報告書ではベトナムを為替操作国に認定し、当時のトランプ政権は同国からの輸入に制裁関税を課すと警告していた。

米通商代表部(USTR)のタイ代表は今回の合意について、ベトナム政府による履行状況を注視し、「通商法301条に基づく調査で不当と判断された通貨の価値に関する行動や政策、慣行」への対処が行われるよう協力すると述べた。

USTRは、ベトナムの通貨押し下げ策が不当だとする調査結果を発表しているが、対抗措置としての制裁関税の発動は見送っている。