(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)は12日、主要国が大筋合意した世界共通の最低法人税率を成立させるための交渉に注力するため、デジタル課税の推進を先送りすることを明らかにした。

米国は欧州で事業展開する米大手テクノロジー企業に打撃が及ぶ可能性が高いとして、デジタル課税に反対してきた。EUはこれまで、より均一的に企業に課税するためのさらなる包括的な取り組みで進展がないのであれば、EUが何らかの課税を導入すると表明していた。

最低税率の導入など国際課税の枠組みを強化する経済協力開発機構(OECD)の合意を20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が承認したことから、成立が一段と現実味を帯びてきた。

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欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)は既にイエレン米財務長官に「デジタル課税に関する欧州委の提案の保留決定」を伝えたと発言。デジタル課税計画の先送りによって、EUは「この歴史的な課税合意を成立させるべく、その最終段階を協力して取り組むことに専念できる」と続けた。

ドイツのショルツ財務相は、EUは今後、国際的な課税ルールをどのように成立させるかを協議することになるだろうと語った。

イエレン長官は11日、「米国企業に対する差別的な課税」に対して警告したが、EUのデジタル課税を巡る動きについては具体的なコメントを避けた。同長官は12日、ブリュッセルでEU当局者と会談する。

EUの報道官によれば、国際課税ルールの決着期限とされている今秋にEUはあらためて課税計画を評価することになる。

米、EUに新たなデジタル税で再考促す-OECD合意を損なう可能性

原題:EU Delays Push for Digital Levy to Focus on Global Tax Deal (3)(抜粋)

 

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