[12日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は12日、連邦準備理事会(FRB)による国債と住宅ローン担保証券(MBS)購入がそれぞれ金利や金融情勢全体に影響を与えており、一方だけが住宅市場にかなりの影響を及ぼしているわけではないという認識を示した。

イスラエル中銀主催のイベントに参加後、記者団に対し「一方のツールが特に住宅に焦点を当て、もう一方がそうではないとは言えず、どちらも金利や住宅コストに影響している」と語った。

また、米経済は資産買い入れ縮小の基準である「実質的な一段の進展」にまだ達していないと強調。経済がそのような段階に到達すると想定される時期については言及しなかった。

FRBが金利を調整する前にテーパリング(量的緩和の縮小)を終了させるのは、過去の行動と同様に「自然なこと」だとし、FRBが柔軟に対処することが重要と述べた。

テーパリングの方法を巡ってFRB内では意見が分かれている。7日に公表された6月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、住宅市場の過熱を懸念する向きが国債よりもMBSの買い入れ縮小を急ぐべきと主張した。

ウィリアムズ総裁は、住宅価格が上昇しているとはいえ「バブル」の状態ではないほか、消費者の負債水準は低下し、金融システムは強化されていると指摘した。

企業が必要に応じて借り入れを行うことができる常設レポファシリティーの導入については、短期金融市場に予期せぬ混乱が生じた場合にFRBが短期金利をより厳格にコントロールするのに役立つと述べた。

「2019年および20年の経験から、予期せぬ事態が起こり、それに備える必要があることを学んだ」と指摘。常設レポファシリティーの導入はFRBの十分な準備預金制度からの脱却を示唆するものではないとした。

6月のFOMC議事要旨では、米短期金融市場の機能を支えるための常設レポファシリティーに関する議論を進め、どのような仕組みが可能かを検討したことが明らかになった。