[8日 ロイター] - 中国証券監督管理委員会(CSRC)は、中国企業による国外での新規株式公開(IPO)計画を審査する組織を設ける意向だ。関係筋が明らかにした。

関係筋によると、国外に上場しようとする企業は関連省庁からの承認が必要となる。中国では何十年もの間、当局による正式な承認を求めてこなかった。

匿名を条件に話した関係者によると、 CSRCが設置する審査チームは主に、いわゆるVIE(変動持ち分事業体)スキームを利用して国外に上場しようとする企業に焦点を当てる。

VIEは、メディアや通信などの産業に対する外国資本の規制を回避するために20年前に作られ、中国企業が国外で上場し資金調達することができるようになった。中国のインターネット企業が活用してきた。企業が国内市場に上場する際に必要となる調査や長い審査を回避できる。

CSRCは既に、審査方法について国内の大手銀行と協議を始めている。向こう数週間で世界の投資銀行からも意見を求めるという。

新たな規制では、国外に上場する企業は、産業を監督する省庁から承認を得る必要がある。例えばフィンテック企業は銀行の規制当局からの承認を得なければならない。

銀行関係者は、新規制により上場の手続きが大幅に遅れ、先行き不透明感も高まると述べる。

一方、中国政府は証券市場における違法行為を取り締まり、不正な証券発行や市場操作、インサイダー取引を罰するために必要な手段だと主張。

こうした審査が始まることを受け、中国の医療データグループ、リンクドック・テクノロジーはこの日、VIEモデルを利用した2億1100万ドルの米国でのIPOを棚上げした。アナリストは他社も同様の動きに出るだろうとの見方を示したが、米国での上場が禁止されたわけではないと指摘した。