[ロンドン 6日 ロイター] - 世界の大手年金基金や保険会社など43の機関投資家で構成し、2050年までに運用ポートフォリオの二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすることを目指す「ネットゼロ・アセット・オーナー・アライアンス」は6日、CO2排出に価格を設けるカーボンプライシングについて、世界的に調和の取れた価格設定を求めた。

同アライアンスのメンバーの運用資産総額は6兆ドルを超える。

世界銀行の5月の報告書によると、世界ではカーボンプライシングの手法として排出量取引や炭素税など約64の枠組みが存在し、世界の排出量の21%をカバーしている。

だが、これらの枠組みの間でも価格が大幅に異なる場合がある。こうした断片的なアプローチでは、世界の投資家や企業は特に低排出への移行に必要な新技術の開発・導入において、リスク管理や長期的な計画立案が難しい。

アライアンスはこうした状況を踏まえ、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える「パリ協定」の目標を達成するためには排出量取引と炭素税のハイブリッドモデルが必要だと提案した。

具体的には、炭素価格に下限を設定し、時間の経過とともにこの水準が上昇するような仕組みを支持すると表明。投資家に確実性を提供し、価格の急落を防ぐためとした。同時に、価格の急騰を防ぐため上限も設けることを提案した。

経済協力開発機構(OECD)によると、50年までに世界で実質排出ゼロを達成するためには、炭素価格が30年までに1トン当たり147ドルに上昇する必要がある。これは欧州連合(EU)の排出量取引システムにおける現行価格およそ59ドルの3倍近い水準だ。