[東京 2日 ロイター] - 公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2日、2020年度の運用収益率がプラス25.15%だったと発表した。自主運用を始めた2001年度以降で最高のプラス運用となった。運用額としては同年度に37兆7986億円増え、21年3月末の積立金残高は186兆1624億円に膨らんだ。

世界的な株価の上昇で保有する内外株式の含み益が増えた。2001年度以降の累積収益額も過去最高の95兆3363億円となった。宮園雅敬理事長は「内外の株式市場の急速な回復で史上最高の利益を上げることができた」と、都内で記者団に述べた。

四半期別の運用実績では、21年1―3月期の運用収益率がプラス5.65%、収益額は同10兆0352億円だった。資産ごとの保有比率はそれぞれ国内債券25.92%、外国債券24.61%、国内株式24.58%、外国株式24.89%となった。

GPIFは、各資産の運用比率を25%とする新たな運用指針を定め、20年4月から適用した。指針では上下6―8%の振れも認めており、国内外の債券、株ともに範囲内に収まった。

宮園理事長は会見で、現行の運用指針見直しの是非を問われ「基本ポートフォリオを変える状況にはない」と応じた。金融・資本市場の今後の動向を巡って「今年度は昨年のような一方的な株価上昇は見込みにくい」との見方も示し、「市場や政策がどう動くかは注視する必要がある」と語った。