(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス証券が約20年ぶりに日本国内の拠点の移転を計画していることが分かった。2003年の完成直後から入居している六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)から23年に完成する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(仮称)に移ることを計画していると複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。

関係者の1人によると、六本木ヒルズは施設が古くなっていることなどから、移転は新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前から予定されていたという。

移転先のビルは東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅と一体的に開発される地上49階建て、高さ約265メートルの超高層タワー。23年7月の完成を目指しており、広場と一体になった商業施設や国際水準のホテルなどを整備する予定だ。関係者によると、ゴールドマンはオフィス部分の最上階に入居する予定だという。

森ビルの広報担当は電話取材に対し、個別のテナントとの交渉や契約については一切回答できないと話した。ゴールドマンの広報担当もコメントを控えた。ゴールドマンの日本オフィスには約1000人の従業員が在籍している。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)はパンデミック(世界的流行)に直面する中でもオフィス回帰派として知られ、在宅勤務について「例外的な状況」だと批判している。米国で在宅勤務が主流の昨年7月には社員をオフィスに戻すことを大々的に進めようとして、周囲の幹部らの反対で押しとどめられた経緯もある。

入居予定の虎ノ門地域では虎ノ門ヒルズのほか、森ビルの再開発事業の中でも最大規模の「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が23年3月の完成を目指して建設が進められている。

(4段落の在籍人数を訂正します)

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