[ジャカルタ 1日 ロイター] - インドネシアのジョコ大統領は1日、新型コロナウイルスの感染急増を受けて、今月3日から20日まで緊急措置を発動する方針を示した。

同国の感染者はここ数週間、連日で過去最多を更新。先月30日の新規感染者は2万1807人に達した。専門家の間では、感染防止策を強化しなければ、インドの感染第2波に匹敵する深刻な事態に陥るとの声が出ている。

大統領は「われわれ全員の協力と神のご加護により、新型コロナの感染に歯止めを掛け、すぐに生活を取り戻せると確信している」と表明した。

政府文書によると、1日の感染者を1万人以下に半減させるため、飛行機利用を含めた移動制限やレストランでの飲食禁止、必要不可欠ではないオフィスの閉鎖といった対策を導入する。

対象は人口の最も多いジャワ島と観光地のバリ島。政府関係者によると、1日中にさらなる詳細を発表する。

インドネシアでは、これまでに217万8272人が新型コロナに感染。死者は5万8491人に達している。

感染力の強いデルタ株が流行しており、ジャワ島では医療体制が崩壊の瀬戸際に立たされている。ジャカルタでは病床を確保するため、病院の駐車場にテントが設営されており、自宅療養中の親族のために酸素ボンベを購入する人々が行列を作る姿も見られる。

ジャカルタの病床利用率は今週93%に到達。ジャワ島全域でも病床利用率が満床に近づきつつある。

公衆衛生の専門家は、今回の対策では不十分ではないかと指摘。2週間の全面ロックダウン(都市封鎖)、人々の接触禁止、外出禁止が必要だとの声が出ている。

政府はこれまで全面的なロックダウンを見送り、感染拡大地域に限定した制限措置を導入してきた。大統領は過去に、こうした措置により経済の疲弊を避けられると発言している。