[ドバイ 30日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は、先行き不透明感が根強く、世界の石油市場が不均衡になるリスクがあることから、来年4月以降も協調減産を続けるか協議する見通しだ。複数の関係者が30日、明らかにした。

OPECプラスは5月から日量580万バレルの減産を実施。引き続き2022年4月にかけて段階的に減産量を減らしていく予定だ。

ロイターが入手した極秘報告書によると、OPECプラスの合同専門委員会は石油市場の需給について、さまざまなシナリオを検証。22年末までに原油が供給過剰になるとの見方を示した。

基本シナリオでは、21年第3・四半期と第4・四半期の経済協力開発機構(OECD)の石油在庫が、2015─19年の平均水準をそれぞれ9600万バレル、1億2500万バレル下回る見通しだが、「22年は大幅な増加が予想され、年末までに1億8100万バレルの供給過剰につながる」としている。

合同専門委では、今年の石油需要が日量600万バレル増加するとの見通しに変わりはないものの、世界経済の回復やワクチン展開にむらがあることや、インドで初めて確認された新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」による感染者数の増加などに伴い、「かなりの不確実性」があると表明した。

コンサルタント会社エナジー・アスペクトのアムリータ・セン氏は、OPECプラスが来年の供給過剰を見込んでいることについて「かなり慎重な姿勢だ」と指摘。来年の需要はOPECプラスの生産量やイランの追加生産を吸収する見込みと述べた。

専門家によると、7月1日の閣僚級会合では生産量の据え置きもしくは日量50万ないし100万バレル超の増産が決定される可能性がある。