2021/6/29

損するのは消費者。アマゾンが誇る「失敗の文化」の代償とは

INDEX
  • 突然「サービス終了」の悲報
  • 知らないうちに「実験台」に
  • 「世界一、失敗できる会社」
  • 次から次へと「イノベーション」
  • 「じっくり開発」の勝利
  • くすぶるユーザーの不満

突然「サービス終了」の悲報

4年ほど前、ポール・ホロウェル(39)は、どうしても欲しかったガジェットをアマゾンが作っていることを知った。それは服装を撮影することを唯一の目的とするカメラだ。
その楕円形のカメラは「エコールック」と呼ばれ、ユーザーが手持ちの服を撮影すると、人工知能を駆使して、最も見栄えのいいコーディネートをアドバイスするという仕組みになっている。
ダラス在住の起業家であるホロウェルは、出張する機会が多く、そのたびに持っていく服選びに何時間も費やしていたため、そういうカメラがあれば服を決めやすくなると考えた。そして200ドルのカメラを注文した。
ホロウェルの読みは当たった。実際、カメラを使うことで時間の節約になったのだ。
だが、アマゾンが3年後に悲報を電子メールで知らせてくることまでは予想できなかった。エコールックとそのアプリは、まもなく機能しなくなるとアマゾンは通告してきた。
より人気のあるアマゾン製品にエコールックの機能の一部(スタイリングのアドバイスなど)を組み込んだため、エコールックの全サービスを終了するというのだ。
ホロウェルは憤った。「サービスは終わらせてもいい。でも、少なくともカメラは使わせてほしかった」と、彼は言う。
2018年に華々しくデビューした「エコー・ルック」(Bryan Bedder/Getty Images for IMG)

知らないうちに「実験台」に