[東京 25日 ロイター] - スズキの鈴木俊宏社長は25日、静岡県浜松市内で開いた定時株主総会で、世界的な半導体不足による四輪車生産への影響についての株主からの質問に、部品が計画通りに調達できない状況だが、仕様変更や生産車種の調整などを進め、「生産を1台でも増やす取り組みを続けている」と述べた。

本田治技監は総会で、社長を先頭に調達・生産・販売・技術など各部門の役員や本部長からなるチームを組み、1台でも多く生産できるよう半導体の入手に向けて日々取り組んでいると説明。取引先における半導体不足にも協力して対応にあたっているとした。

チームによる取り組みが奏功した例として、本田氏は「7月分の生産計画については6月初めには70%台半ばの確保にとどまっていたが、現在80%前後の生産確保まで来ている」と明らかにした。

国内営業担当の鈴木敏明専務役員によると、国内の状況については「4月─6月の生産は計画に対して約80%、販売は89%になる見込み」。

海外営業担当の齊藤欽司専務役員は、日本で生産する海外向け小型車「スイフト」など4車種に関して、4月─6月の生産は「半導体不足の影響で計画比で約55%ぐらいの減産になっている」と語った。

齊藤氏はまた、ハンガリー工場での4月─6月の生産は「計画の80%ぐらいになる見込み」で、3月に発生したスエズ運河でのコンテナ船座礁事故でコンテナが世界中で動かなくなったことが生産遅延の主な要因と説明。「7月以降も、世界各地の生産拠点で半導体不足の影響がだんだん出てくることが予想されている」と話した。

<鈴木修会長が退任、相談役に>

スズキの経営を社長・会長として43年にわたって担い、取締役としては58年間務めてきた鈴木修氏(91)がこの日の株主総会をもって退任し、相談役となった。

鈴木氏は総会後、「数多くの失敗をしでかした。しかし、失敗から多くを学び、成長することができた」と振り返り、株主や取引先に感謝の意を示した。「メーカーは作っておしまいではない。作って売って、なんぼだ」とも話し、販売店や顧客に対しても「感謝」の言葉を繰り返し、最後のあいさつとした。