[東京 25日 ロイター] - 海外株主への圧力問題で揺れた25日の東芝株主総会は、焦点だった永山治取締役会議長の選任など、会社側議案が一部否決される異例の展開となった。

関係筋によると、永山氏の否決には多くの票が集まった。「注目度が高まったことで、海外株主の投票が増えたためではないか」という。

<東芝は取締役会後に対応発表へ>

取締役候補者11人中、賛成を得られなかったのは永山氏と、監査委員会の委員だった小林伸行氏。昨年7月の株主総会運営に関する外部弁護士の調査報告書を受けて、両氏に辞任を求める声が大株主から上がっていたが、永山氏が続投に意欲を示すなど、事前から対立姿勢が目立っていた。

総会終了後、第2位株主の3Dインベストメント・パートナーズは声明を発表。総会の決議は、透明性の確保や株主との信頼構築を推進する「極めて画期的なもの」だとして、「東芝再興を願う者として、新経営陣との建設的かつ継続的な対話を通じ、できる限り支援したい」と表明した。

東芝は議案の否決を「真摯(しんし)に受け止めている」とのコメントを公表。役員人事の詳細は総会後の取締役会で決議し、あらためて発表するとしている。

総会には27万人の株主のうち、183人が出席。17人が質問に立ち、2時間42分続いた。綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)や社外取締役のポール・ブロフ氏、ワイズマン広田綾子氏、ジェリー・ブラック氏、レイモンド・ゼイジ氏ら9人は、会社提案通り承認された。

経済産業省は総会の結果を受けて、個別企業の株主総会や人事についてはコメントを控えるとしつつ、「東芝には、株主との対話を通じたコーポレート・ガバナンスの向上を図りつつ、国の安全の確保にとって重要な事業や技術の安定的な発達が図られることを期待している」と表明した。

<株価は高値圏で上昇一服、永山氏の後任に注目>

この日の東京株式市場で東芝株は、2カ月ぶり高値圏で上昇が一服。楽天証券チーフストラテジストの窪田真之氏は「永山氏の後任が誰かによって、東芝のガバナンスを変えることができるかもしれない。永守氏(日本電産会長)のように、強いリーダーシップとコーポレート・ガバナンスの知見を持った人物なら、改善に期待できるのではないか」と話している。