[マニラ 24日 ロイター] - フィリピン中央銀行は24日、政策金利の翌日物リバースレポ金利を予想通り過去最低の2.0%に据え置いた。一部地域で新型コロナウイルス流行に伴う制限が強まる中、成長の下振れリスクが残っていると指摘。緩和的な金融政策を維持し、景気回復を支援する。

据え置きは5会合連続。ロイターが調査したエコノミスト11人全員が現状維持を予想していた。

翌日物預金金利と翌日物貸出金利も、それぞれ1.5%と2.5%に据え置いた。

ジョクノ総裁は記者会見で「経済活動はここ数週間で改善しているものの、新型コロナの感染脅威が続く中、景気回復の全般的なモメンタムは相変わらず不確かだ」と指摘。「インフレ見通しに対する下振れリスクは新たなコロナ変異株の出現で引き続き生じており、抑制措置の緩和を遅らせ、国内成長見通しを弱める可能性がある」と述べた。

また、米連邦準備理事会(FRB)の早期引き締めシグナルがでているものの、必要な限り経済支援を続けると強調した。

インフレ見通しは依然「おおむね均衡している」と指摘。今年の平均は目標レンジ(2─4%)の上限近くとなり、2022年と23年はレンジの中間に向けて鈍化するとの見方を示した。

直近3カ月のインフレ率は4.5%で推移している。

フィリピンペソは、中銀の決定発表後、ほぼ横ばいで推移している。一時は約3カ月ぶりの安値に下落していた。

フィリピンは5月に今年と来年の経済成長目標を下方修正している。

中銀は、2021年の平均インフレ率の予測を3.9%から4.0%に小幅に上方修正。2022年の予測は3.0%で据え置いた。2023年の予測は3.0%。

キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、アレックス・ホームズ氏は「インフレ懸念が後退しており、数カ月後には追加利下げを実施して、低迷する経済を支えるだろう」と予想。フィリピン経済は新型コロナ流行前の水準を約10%下回っている可能性が高いとの見方を示した。

一方、INGのエコノミスト、ニコラス・マパ氏は「物価圧力が低下し、インフレ率は今後数カ月で目標レンジ内に入る見通しだ。中銀は年内、政策を据え置くだろう」と述べた。