[ソウル 23日 ロイター] - 北朝鮮の李善権(リ・ソングォン)外相は23日、米国とのいかなる接触も考えていないと表明した。

朝鮮中央通信(KCNA)が報じた談話で「われわれは米国とのいかなる接触の可能性も考えていないし、ましてや接触しても何の得にもならず、貴重な時間を費やすだけだ」と述べた。

米国のソン・キム北朝鮮担当特使は21日、訪問先の韓国・ソウルで、北朝鮮側と「いつでもどこでも条件なしに」会う用意があるとし、北朝鮮からの「前向きな回答」に期待を示した。

22日には、金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)党副部長が、米国の対話期待はより大きな失望をもたらすだけとの談話を発表していた。

北朝鮮の動向を分析している米国が拠点のシンクタンク、38ノースは北朝鮮の一連の反応について、直ちに対話するつもりはないとの明確な意思表明だと指摘。とりわけ「米側からあいまいな政策策定の繰り返し以上の具体的な対応がない限り」対話しない立場だとした。

ただ、一連の談話は慎重な言い回しで対話自体に「ノー」を突き付けてはおらず、バイデン政権の金正恩氏への「生ぬるい」反応に対処する意図があると分析した。

北朝鮮の李外相は「無意味な」接触を拒絶したが、「つまりは中身がある協議はなお可能だと暗示している」とした。北朝鮮は新型コロナウイルス対応の規制をまだ解除しておらず、対面の会談はできないため、対話の準備ができるまでの時間稼ぎの可能性もあると指摘した。