[バンコク 23日 ロイター] - タイ中央銀行は23日、政策金利の翌日物レポ金利を過去最低の0.50%に据え置くことを決めた。新型コロナウイルスの感染第3波に見舞われる中、2021年の経済成長率予想は引き下げた。

決定は全会一致。これで9会合連続で金利を据え置いた。

ロイター調査でも、22人のエコノミスト全員が据え置きを予想していた。

中銀は声明文で、国内の経済成長に大きな下振れリスクがあると指摘。金融政策は引き続き緩和的な状態にとどまると付け加えた。

ただ、さらなる政策手段の余地は限定的で、最も効果的な時期にその手段を用いる用意があるとした。

中銀は「新型コロナ感染第3波により、タイの景気回復は従来見通しよりも緩慢かつまだら模様になるだろう」と指摘。「新たな感染の波に伴う経済見通しへの下振れリスクも引き続き大きい」とした。

中銀は2020年上半期に3度の利下げを行って以来、金利を据え置いている。

タイ中銀は、今年の成長率は1.8%との予想を示し、前回予想の3.0%を引き下げた。また、観光業界への依存度が高いタイの今年の観光客数をほんの70万人と予想。従来は300万人になると見込んでいた。

一方、今年の輸出伸び率見通しを10%から17.1%に引き上げた。世界経済の回復状況に合わせた。

カシコン銀行の資本市場調査担当責任者、Kobsidthi Silpachai氏は「政策金利は少なくとも向こう12カ月は据え置かれるとみている。インフレ率は明白なそこにある危険ではない」と指摘。しかし、「GDP(国内総生産)の90%近くとなっている家計債務は厄介な問題であり、インフレや経済不均衡の高進・拡大を巡るオーバーハングとなるだろう」と語った。