[ブダペスト 22日 ロイター] - ハンガリー国立銀行(中央銀行)は22日の政策決定会合で、主要政策金利の1つであるベース金利を30ベーシスポイント(bp)引き上げ、0.9%とした。翌日物預金金利はマイナス0.05%に据え置いたものの、新型コロナウイルス禍から経済が予想より速く回復する中、物価上昇圧力に対応するために利上げに踏み切った。

新型コロナ感染拡大後に利上げに踏み切ったのは、欧州連合(EU)加盟国の中でハンガリーが初めて。利上げ幅はロイターがまとめた予想の25bpを上回った。

中銀は声明で「インフレ見通しが中銀の目標付近で安定し、インフレリスクが金融政策の時間軸において一様に均衡するまで、利上げサイクルを継続する」と発表。インフレ見通しの上向きリスクは全般的に高まったとし、「商品(コモディティー)価格や国際運賃の持続的な値上がりは対外的なインフレ環境の高まりを示している」と指摘した。

マトルチ中銀総裁はオンライン形式で開いた記者会見で、決定は全会一致だったと表明。「われわれはインフレを抑制する」とし、インフレ率が中銀の目標レンジに戻るまで利上げサイクルを続けると強調した。

オルバン首相に近い立場にあるマトルチ総裁はこれまでに段階的に利下げを実施し、ベース金利を過去最低の0.6%まで引き下げていた。ただハンガリー経済は新型コロナ感染拡大第3波の影響から急速に回復し、選挙が実施される2022年に向け拡張的な予算案が成立する中、インフレ率は予想を超えて上昇。5月のインフレ率は5.1%と、中銀が目標とする2─4%を大きく超えていた。

中銀は今年のインフレ率を平均4.1%と予想する。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、リアム・ピーチ氏は「景気回復が強まる中、今後数四半期の間にインフレ率がさらに上昇する可能性が高いことから、年後半に追加利上げが行われるだろう」と述べた。