[シンガポール 22日 ロイター] - コンサルティング会社ウッドマッケンジーによると、アジア太平洋の再生可能エネルギー発電への投資は2010年代から倍増し、2030年までに1兆3000億ドルに達する可能性がある。

化石燃料発電への投資は約25%減少し、年540億ドル前後になる見通しという。

同社のリサーチディレクター、アレックス・ウィットワース氏は「アジア太平洋の発電投資は世界をリードしており、2020年代に2兆4000億ドルに達する見通しだ。その半分以上を再生可能エネルギーが占める」と述べた。

アジア太平洋地域では、中国、日本、インド、韓国、台湾などが太陽光・風力発電といった再生エネ投資に大きく貢献しており、年間平均で約140ギガワットの発電容量が追加されているという。

22日付のリポートで明らかにした。

一方、域内でエネルギー移行をリードしてきたオーストラリアの再生エネ投資は、今後5年間で60%減少する見通し。ただ、その後は再び回復し、2030年代には年平均70億ドルになると予想されている。

同社のシニアアナリスト、Le Xu氏は「(オーストラリアは)老朽化した石炭火力発電所を閉鎖しており、他のアジア諸国より少なくとも10年早く、信頼性とコスト面の課題に直面している」と述べた。

ウィットワース氏によると、2030年まではアジア太平洋地域の化石燃料投資の55%を石炭が占める見通し。石炭の比率は2030年代には30%に低下し、ガスが主流になると見込まれている。

アジア太平洋域内の発電セクターの炭素排出量は、2025年までに73億トンでピークに達する可能性が高い。これは1人当たり1.8トン相当で、大半の先進国の半分以下の水準という。

域内の発電セクターの炭素排出量は2025年のピークから47%減少する見通しだが、ウィットワース氏によると「アジア太平洋地域は、石炭発電施設の惰性により、2050年までに炭素ゼロ発電を実現できない見通し」という。

同氏は、二酸化炭素回収・貯留(CCS)といった新技術や、水素、アンモニア、バイオマスといったグリーン燃料を石炭・ガス発電で活用することが、発電セクターの排出量削減のカギを握ると指摘した。